砂漠 ・5・



 ぁあぁあァアぁァアアアぁぁぁあああァァァぁあァァぁぁ、、、、、。

 酷く長い断末魔の後、ピクリとも動かなくなったゾアノロイドを、腕を振る要領で引き抜いた。
 その体はぐんにゃりと、力無い人形のように地面に落ちた、貫かれた胸からどんどんデータが消えてゆく。


 「ミッション、コンプリート。」


 感情のない声であまりにもあっけない終わりを告げる。


 「よくやった、信じてたぞ。」


 男の人は、簡単だったけどちゃんと思いのこもった労いの言葉をかけた。けど、黒い鎧にナビは反射的に軽く頷いただけ、ちょうど時間だったらしい、淡い光に包まれたと思うとその黒いからだが透けて、消えた(正確には、PETのなかに戻っただけ)。
 それを確認するように、PETをのぞき、もう一言、労いの言葉をかけるとPETを仕舞った。
 僕は、男の人の腕の仲で、長い安堵の息を漏らした。そして、我に返って、男の人の腕から降りると、あれだけ強張っていたからだと同じモノに思えないぐらいの早さで、妹の元へ駆けた(我ながらゲンキンものだ)。


 「…っ!だいじょうぶ!!」


 いきなり離したから、どっかに怪我でもないかと、体を探るが砂まみれになった以外無傷のようだ。


 よかったぁああ、、、。


 がくんと、全身の力が抜ける。
 確かめるみたいに、ぎゅうっと、僕は妹の熱く細い体を抱きしめたそして、出来るだけ、地面に引きずらないように、日陰に連れて行き、楽にさせた。
 今は、体が熱くて熱が高いことは分かるけど、比較的、息は落ち着いている方だ。安心した。

 その時、男の人が後ろからゆっくり近づいてきた。
 僕は、お礼を言おうと、振り向く。

 「ありがとうご…」


 ぱぁんっ。


 乾いた音がして、僕はほっぺたに痛みを感じた。


 、、、、え?


 僕は、ずきずきと痛み出したほっぺたを押さえて、上を向く。

 そこには、思わず硬直するほど、恐ろしいお怒りの形相の男の人がお居ました(思わず丁寧語)。
 
 怒りをかみ殺すように、口元が硬く曲がっている。
 ふぅうと、息を吸う。
 そして。


 「君は馬鹿かっつ!!もう少しで死ぬかもしれなかったんだぞっつ!!」


 びりびりっと、その場の空気が震えるほどの大きくて、怒気の籠もった、大声と言うより、咆哮だった。
 僕は、何も言えずに固まる。
 握っている拳が震えている、此でも一生懸命男の人は押さえた方なのだろう、でも、充分すぎるほど怖い。

 何かまだ言いたかったらしく、薄く口が開きそうになるが、ぐっと閉じる。

 すぅうはぁあと、大きく深呼吸をして、ぎっと、僕を睨み付けるように見る(本人は、多分自覚ないだろうけど、怖すぎる、、、正直、今は妹のように気絶することを望みたい、、、)。


 「…っつ!っ!っつ!………すまん、思わず…。」


 言葉に前半部分、必死にまだ怒鳴りたいことを殺したらしい。

 けど、僕は、叩かれたことは正直当然だと思ったし、軽すぎるぐらいの制裁だ(怖さは、、、別ね、、、)。


 「いいです、、、ほんとうに、、、ごめんなさい、、、。」
 「いや、俺が悪かったな…。あの時、君を今のように叩いてでも逃がすべきだった。」
 「いいえ。やっぱり、僕がわるいんです。」


 男の人は、無言で頭を振る。


 「関係ない一般人である君を、こんな危険な目に遭わせてしまった。責任は俺にある。」


 きっと、表情を顰めて、力強い怒りと全く正反対に僕の両肩を優しく掴む。

 薄い布越しから、手の温かさが伝わってくる。
 当然のことだ。けど。


 「怖かった…だろうに…すまなかった…本当に…。」


 その優しすぎる言葉とでが、僕の仲にあった何かを溶かした。
 僕は、もう、今日何回目になるか分からない涙を流して、男の人の包帯だらけの胸に飛び込んだ。

 わーわー、赤ちゃんみたいに泣いて、傷に障るって分かってるのに、ぐいぐいと、顔を押しつけて泣いて。
 それでも、男の人は、何も言わず、僕の背中を優しく撫でる。

 僕はふと、顔がおぼろになってしまったぐらいの父さんの感触を思い出す。

 なんでだろう、、、全然違う雰囲気なのに、、、。

 男の人にどれだけ縋り付いて、泣いていただろう。

 ゆっくりと、胸から顔を離す、困ったような笑顔を浮かべる男の人の顔が見える。


 「落ち着いたか?」
 「はい…。」
 「よしっ。」

 男前が台無しだと、ぽんっと、頭を叩く。

 僕は照れくさくて、顔を伏せる。


 、、、あの、、、ごめんなさい、、、。

 
 思わず、漏れた言葉に男の人の顔が不思議そうに曲がるが、僕が無言で胸元をふいて分かったようだ。
 涙だけじゃなくて、鼻水でもぐちゃぐちゃだったもので、、、。


 「あー、なんだ、そのー…取り合えず、何か食べるか?」
 「あ…はい…。」


 気まずくて、空気が半端なく硬い。

 なかなか、現実は綺麗に終わらないものだね、、、。
 はあぁ、、、もっときれいに終わりたかったよぉ、、、終わりが鼻水ってどうよ?
 普通に、落ち込むよねぇ、、、。

 お互い、思いっきり引きつりきった笑顔を浮かべ、乾いた笑いが漏れる。


 そう長くない時間、不自然な時間を過ごすと、ふいに、男の人がざぐっと、立ち上がる。


 「まだ、動けるのか…。」


 明らかに、僕に向けた言葉ではない。

 言葉に会わせるように、ずり、ずりと、音が迫ってきた。
 砂の上で何かが引きずられる音、いや、何かが這ってくる音だ。


 「獣化も此処まで来れば、地獄の苦しみを産むだけだな…。」
 「ァ゛…あ゛…ェ゛…」


 もう、音としてしかとれない声を上げるそれは。


 「ゾアノ…ロイド…」


 胸の穴は大きくなって、もう、上肢と下肢はもう、人間で言う皮一枚程度にしか繋がっていない。
 体のとこるどころパーティクル化して、体自体がなんというか、焦点が合わないと言うか、滲んでいるというか、そんな感じにぼろぼろになっている。
 けど、もうさっきまでの、決定的に無理矢理恐怖をさせる何かはもう無くなっていた。

 あれだけ酷いことされた僕も、もう、怖さを感じられない。
 というか、さっきのと同じものには見えないぐらい、、、
哀れだ。

 僕はふと、いつ見たか、酷く暑い日にからからになって死にかけていた虫を思い出した。


 「ィ゛…ぁ゛…ア゛」


 もう声を上げて、地べたははいずり回るしかできなくなったようだった。
 ぼろっと、足が乾いた塊がぐずれるように消える。

 ほっといても、このままデリートだろう。


 「………」


 僕は、こっちにもう気力というか、執念というか、地べたを這ってくるゾアノロイドを見る。
 けど何も思わない、何も感じない。

 ほんのちょっと、前まで、自分を殺そうとしていた相手に。

 虫を見るような気分。

 そんな冷たい考えを起こす自分に、自分でも驚きを感じた。


 「ァ゛ア゛…ァ゛あ゛あ゛ァ゛」


 男の人も唯見ているだけ、その目は、ただただ、哀しそうだった。

 腕を上げ、ランスのように変える、さすがに、それには身構えたけど、そのランスは、僕も殺せないだろうと思えるほど劣化して、錆びきった金属の塊のよう。
 そして、振ろうとしたのか、僅かに腕が動く、が、肘の当たりから、熟れきった木の実が落ちるみたいに、ぼとりと、落ちた。

 後はもう、文字として当てはめることが出来ないぐらいの、壊れた機械から聞こえる変な音になった。
 悔しいときに、するみたいに、手足が無い芋虫みたいな体で、芋虫が動くみたいに暴れる。

 今なら僕にだってデリートできるだろう、そこら辺に転がっている石を持ってきて思いっきり頭にでも叩き付ければいい、けど、、、そんな気分は一切起きない。


 何が悔しいのだろうか、、、ファルザーサマとやらに申し訳ないのか、、、負けたことなのか、、、見当も付かない、、、。


 僕は、虫を見るような気分から、他の気分になる、けどこの気分はなんだかは解らない。


 「…しんじゃうの…?」


 僕は、デリート。ではなく、なぜかそう言ってしまった。なぜだかは、、、分からない、、、。
 男の人は、何も答えなかった。


 騒ぎが収まったのを感じ取ったのか、疎らに、人が戻ってきた。

 そして当然、ゾアノロイドに気が付く。


 「ゾアノロイドだぁああっつ!!ゾアノロイドが居る!!」
 「なんだって!!」
 「でももう虫の息よ!!」
 「ははは!!ざまーみろ!!」
 「そのままデリート!!デリートしちまえ!!」
 「そうだ!!俺達の恨みを思い知らせろ!!」


 わあああっと、ゾアノロイドが何も出来ないとか分かると、それぞれが思い思いに、石だったり、棒だったり、何かしら握り、ゾアノロイドに群がる。

 興奮した声を上げながら、笑いながら、悪態を付きながら、我も我もと群がる。
 僕は、そんな人たちの間から僅かにゾアノロイドを見た。
 最初は何かしら抵抗するように暴れていたけど、後は動かなくなり、されるがままだった。

 僕も、男の人もそれを止めることはしなかった。例え止めても聴かないはずだし、何より、あのゾアノロイドが助けを拒んでいたように見えたから。


 長い暴行の後、みんなは実に晴れ晴れとしたように、手に持っていたものを捨てながら離れていった。


 僕と、男の人は、ゆっくりと、近づいた。
 上半身の半分から上しか残っていなかった。


 僕は無意識に、手を伸ばす、触れなかった。もう実体を保てないほどなのだ。
 僅かに口が動く(獣化してるからまだ口がある)。


 「なにか…いいたいの?」


 ふっと、目がまるで全く別の誰かになったように変わった。それだけじゃない雰囲気というかそんなものが、ここれも全く別のものに変わった。

 そして、獣化がとけた。

 ゆっくりと、僕に目を向ける、その目はもう曇っていて明らかに光を感じ取れてないと分かった。

 その半分の顔が、くしゃりと歪む。
 そして、音を出す(もう言葉とも、声ともつかない)、けど、その響きから何となく誰かの名前だと分かった。

 男の人は、それに何かを感じたのか、僕を更にそのゾアノロイドに近づける。


 「此処にいるぞ、君のオペレーターに心配はない。」


 ゾアノロイドは、その仮面のような安心したように顔を和らげた。
 そして、砂に混じるように消えた、、、。



 僕は、呆然と、砂の大地を撫でる。
 そして、男の人を見る。
 答えが、、、いや、答えじゃなくたっていい、、、何か聴かせて欲しかった。


 「ゾアノロイドは、確かに人類の敵に当たる。此は間違いない、だが、もう少し考えて欲しい。」


 男の人は、仕舞っていたPETを弄くりながら続ける。


 「ゾアノロイドの元は、、、何だ、、、?」


 その言葉に、僕は、はっとなる。
 そして、無言でPETを弄くり続ける男の人から目が離せなくなってしまう。


 それは、、、ナビ。


 「基本的に、獣化因子に冒されると、ナビ個人というか、何というか、私的な記憶は消える。その代わりのように、絶対的な忠誠心が生まれるというわけだ。さっきのゾアノロイドは、あれだけ組織データを失ったんだ、データだけじゃなくて、獣化因子をも大量に失って、、、最後の僅かな間だけ元に、正気に戻ったんだろうな、、、」 


 あの、ゾアノロイド、いや、あのナビは、我の帰ったとき捜してたんだ。
 だから僕を、、、誰かと、、、彼のオペレーターと言ったんだ。

 彼は、あんな状態だったのに、、、捜したんだ、自分の事なんて置いて、オペレーターを、、、。


 「俺は、時々思ってしまうんだ。ゾアノロイドをデリート身でありながら、彼らをデリートした後に。「もしかしたら待っている奴が居たんじゃないか」ってな。ふ、笑えるだろう?軍に籍を置いていたことのある人間がこんな甘いことを抜かすなんてな。」


 ぎゅうっと、PETを握りしめ、男の人は何処か乾いて哀しそうな笑顔を浮かべて言葉を零す。

 ふと、僕は思った。


 この人は怖いんじゃないだろうか?
 もし、この人の黒い鎧のナビがもしあっち側にいってしまったら、と。
 もし、黒い鎧のナビをデリートしなくちゃならなくなってしまったら、と。
 もし、その時自分は戦えるのか、と。

 ゾアノロイド達に、そのオペレーターだった人たちに、黒い鎧のナビと、自分を重ねて。

 もしかしたら、自分たちの姿になるかもしれなくて。


 僕は、言葉が見つからない。
 それほど、感情や、愛を抜いて、空っぽになってしまってしまったナビでも、想っているんだと、痛いぐらい分かって、いや、考えれば、彼を想っているからこそ、抜いたのかもしれない、、、。

 僕がもし、ナビを持てるときが来たら、それほど強く想えるんだろうか、、、ナビにも想われるぐらいに。

 そんな自信、僕には、、、正直ない、、、。



 それから僕は、妹に、水を飲ませ、安全なところまで運んだ。
 熱は、相変わらず高いが、息は落ち着いていて良かった。


 僕は、ぐっちゃぐっちゃになってしまった(さっきの戦いの振動とか、流れ弾とかで)ところから、必要な物をかき集めたり、やっぱり傷口が開いてしまった男の人の手当の手伝いをしたり(びっくりしたのはその後!僕を手伝うとか言って動こうとするんだもん!気持ちは嬉しいけど!重傷の人は大人しく休んでて!!見てると気が気でないからぁあ!!)、気が付くと、暑い太陽は低いところにいっていて、空は赤く染まっていた。


 男の人は、僕が何があっても絶対安静にいてと、頼み込んで渋々建物物陰で休んでいたが、ふと、なにかを見計らったように立ち上がる立ち上がる。

 また、無茶するのかと思って思わず腕を取るが、気配で、違うと悟った。


 「おじ…さん?」
 「さて…。」


 くしゃりと、また僕の頭を撫でる。

 僕は、この人に、何度頭を撫でられただろう?(多分、自分より小さい相手を扱うときの癖なんだろう。)
 こんな子供扱いは、僕が覚えている限り、この世界がぐちゃぐちゃになる前が最後だった。


 「俺は行くところがあるんだ、今ぐらいからでもいかないと、夜の砂漠で一夜を明かすことになるんでな。」
 「えっ…?」


 ちゃかすような、口調でさらりと言う。
 つまり、、、いっちゃうの?
 もう、、、いっちゃうの!?


 「そ、そんな大けがでいったらしんじゃうよ!」
 「大丈夫だ。昔腹に鉄筋が刺さったことがある。こんなの、その時に比べれば軽い。」


 、、、なんとういう出鱈目な生命力、、、。

 いや、感心している場合じゃないって僕!


 「でも!でも…!でも…っ!!」


 確かに、男の人の顔には大分血色が戻っている。体が包帯だらけのくせに、元気さというか、そんなものが、あふれているぐらい。

 止める理由が僕には見つからない。


 もう少し、この人と一緒にいたい。


 この本音は、どうしても言えない。だから僕は、精一杯の言い訳を考えてこの人を止めようとしている。


 そんな僕の心の中を見透かしたように、嫌、実際顔に出ていたのかも知れない、困ったように笑みを浮かべ。


 「ごめん…ごめんな。」


 そう、優しく、何故か謝った。
 謝る理由なんてないのに、僕がわがままを言おうとしている事なんて分かっているだろうに。


 「はい…。」


 僕は、見つからない言葉を誤魔化した。

 男の人の目を見れず、僕は、視線を足下に落とした。
 けれど、その落とした視線にぬぅっと、手を伸ばされた。

 僕は、その手から、腕へ、肩へ、首へ、顔へと視線を上げ直し、男の人と目を合わせ直す。

 男の人は、優しい笑顔を浮かべたまま、低い僕にあわせるように腰を落とす。
 ちょうど伸ばされた手は、僕と同じぐらいの高さになった。


 僕は、恐る恐るその大きな手に、手を重ねた。


 「さよう…な…、ううん!…また…ぜったい…ぜったいに…っ!…あえますよね…!」


 途中で、さようならの言葉を辞めて、再会できるように僕は言葉を直す(言葉には、力があるんだって、ニホン系の人に聴いたことがある)。
 大きな手は、僕の手を優しく握ってくれた。

 ごつごつとしていて、硬くて、暖かい、大人の手。


 「ああ、また。会おう。」


 こんな、壊れて、ぐちゃぐちゃで、危ないこの世界で。また。なんて、保証のできない言葉に一つだ。

 けど、願ってしまう。またと、また、、、会いたいと。


 たった数時間、一緒に過ごしただけのこの人に、僕は、絶対とも言える信頼のようなものを寄せている。
 だから、またこの人と会いたい。

 もっと、一緒にいて、もっと話したかった。
 もっと、この人に事を知りたかったな。

 手を握ったまま、男の人は言い聞かせるように僕に言う。


 「明日の朝一番な、この街にレジスタンスが、支援部隊が来る。」


 え、、、?


 「俺が知っている部隊でな。少々色物が多いがイイヤツばかりだ。俺は、その先遣隊みたいなものだったんだ。」


 こんな、ゴミ溜にような、見捨てられた街に、支援部隊が、、、来るなんて、、、。


 「明日になれば、食料も、薬も、くるからな。」


 だから、もう、大丈夫だ。


 一息置くか置かないかぐらいの、間をおいて、その言葉を付け加えた。


 「はい…!はい!!」


 僕は、その手にもう片方の空いていた手も加えてぎゅうっと、握る。
 男の人は、少し痛いよっと、言うくせに、僕の手を振る払うことはなかった。












 男の人は、コートを羽織り、少ない荷物をまとめ(食料を返そうとしたんだけど、水だけでいいと言って、受け取らなかった)、赤く染まった砂漠へと旅立とうとしていた。

 僕は、思わず、未練がましく、目の前にきた、乾いた風に煽られたコートの端を握った。


 けれど、もう、男の人は振り返ってはくれなかった。

 何処か頭の隅っこで予想していたけど、少し寂しかった。


 「…気をつけてください…」


 もう一度振り返って欲しくての、あまりにもありきたりな台詞だった。
 けど、、、。


 「心配ない、俺には此奴が居る。」


 振り返ってはくれないが、肩越しに黒いPETを見せる。


 PETの中にはあの黒い鎧のナビが居る。


 赤い光に照らされた小さいそれはとても、頼もしい物に思えるから不思議だ。

 いや、実際頼もしいか、、、。

 僕は、あの緑の目と、あの鬼のような戦い振りを思い出しぶるりと身を震わす。
 怖かったけど、あれだけ強いのだから、男の人に心配はないと思う。


 だよね、、、大丈夫だよね、、、、。


 僕は、コートから手を離した、背中越しだったけど、笑った気配だった。
 そして大事そうに、PETをコートの内側に仕舞った。


 ざぐっと、強く砂を踏みしめると、溶けていくように赤い砂漠へと進んでいく。


 僕は、もう別に言葉をかけなかった、ただ、赤く溶ける男の人と、その大きな影を見て、何でか、僕には、あの男の人と、黒い鎧のナビが並んでいるように見えたそれだけだ。















 

 長かった!
 ぐだぐだと書いていた「砂漠」でしたが、一応完結!
 相変わらず、名称を出さないように無駄に頑張りました。

 「僕」が使いづらかった、、、。

 バレルさんと、カーネル氏が、もっと格好良く書きたかった、、、。

 あれ、何がかきたかったんだろう、、、。
 最初は、格好いい黒組と、バトルと、ゾアノロイドを書いてみようだったような気がします。

 無駄に長くなってしまったような、、、、。
 何故私は短くまとめられないのだろう、、、?

 因みに、「僕」、「僕の妹」、「腕の長いゾアノロイド」にモデルは居ません(「僕の妹」出番少な、、、)。

 「腕の長いゾアノロイド」には、ちょっと悪いことをしてしまったような気がします(フルボッコにしてしまった)。

 別に彼に細かな設定はありませんが、やはり元は、戦闘用のナビではないです。
 天変地異前は、普通に、オペレーターと過ごしていた。そんな具合です(無駄にイイ声という設定は何となく、、、意味は全くありません、、、)。
 ゾアノロイドにスポットを当てたのは、なんだか、報われないゾアノロイドが多くて、個人的に、なんと言いますか、可哀想ではなく、嫌だなと思ったのです。

 あっちのゾアノロイドさんたちも、オペレーターはいたんだよね、と思ったら、最後に瞬間に思うかなと思いまして、、、。


 あ、因みにレジスタンスの皆々様は、マサ隊長さん達です(一応、ネットセイバーだから、あちらの世界でも、そんなお仕事に就いていることを願って、、、)。

 次の日に朝一番に付いた彼らに、「僕」は、サロマさん達に「僕の妹」を視てもらったり、バレルさんのことを聴いたりするでしょうね。

 将来、「僕」も、バレルさんのように、ナビを持って、いいオペレーターになってくれるといいです。

 多分、時期系列としては熱斗君がビヨンダードに来る少し前ぐらい、、、かな?