思い立つ日が吉日 ・5・



 あの時は、本当に驚いた。
 ずっと口を開くことの無かった相手の最初の一言が、暴言(因みに、初対面の声は何行ってるのだか理解できなかったが、後できくと、投げようとしたあたしに対して、手荒に扱うなと言ったらしい)。

 その時、ガキの頃からモットーとしてた、第一印象なんぞクソ食らえは、正しかったと思った(因みに、第一印象は、くそ真面目そーな大人しげなヤツだ)。

 でも、これが最悪最低史上最強毒舌との出会いと思えば、生易しいものだったと今その時のことを思い出すたび、握りつぶさんばかりにPETを握りしめながらしみじみ思う(現在進行形、めきめきナニが鳴ってるのかな?)。

 え?
 いや、別に今のお前に不満は、、、あるわ勿論。

 頼むから、いっぺん地獄に行って来いよ。
 もう帰って来なくて良いからさ、金がいるんだったら今回ばかりは特別サービスで、片道切符買ってやる。


 、、、五月蝿いな、良いじゃないか。乗り物好きだろ?
 お前この前、ガキ向けのビークル特集を食い入るように見てたのが良い証拠だ。


 ん?言うな?

 はは、今度ニホンのビークルホビー買ってやろうか?(ニホンのそう言う技術は世界レベルで評価できるものだしな)。

 どうした、声も出せないか?ざまみろ、、、え?

 、、、そうですか、、、嫌味通じないな、、、畜生、、、(今、、、こいつ、、、喜んでニホンのホビーメーカーを上げやがった、、、もしかしてお前、、、、あれか?、、、そっち系のコレクターだったのか?)。










 「…はぁ?」
 『…聞こえなかったか。難聴気味なら名医の在籍する医院を検索する。』


 相変わらずの無表情のまま、ナビは慇懃無礼な毒を吐き、何事もなかったかのように口を真一文字に戻した。

 おっさんは、とても意外そうにあたしと、毒舌ナビを見比べる。
 少し面白いものを見たな、、、と、目が言っていた。

 、、、まあ、第三者から見たら面白げに見える代物だろうね(実際あたしが第三者だったら、おっさんみたいに面白げに見る程度じゃなくて、其奴らに指さしてげたげたと、態と甲高い声で誠心誠意で嘲笑を上げてやるけどね)。

 だけど、当事者になれば此は此。

 巫山戯んじゃねえよ、このクズ野郎。百分の九十九殺しした後に、身体をバラバラに解体して、ガソリンを全身に、隈無くぶっかけて火炎放射器で炭クズにしてやろうかって感じ。


 『……っ…。』


 あたしが、そんな到底ナビには出来無そうな願望復讐劇を思考していると、おっさんの手で遊ばれていた奇妙なPETから、詰まらせたような声があがる。


 「おっさんのナビくん?言いたいことがあるんならいえばぁ?」


 なんだよ、今日は電脳的な意味で運が悪い日なのか?
 イラってきたし、態とトゲのある言い方をすると、おっさんのナビは沈黙に逃げた。
 、、、あたしの周りの電脳生命体は無口な輩が多い。嫌な高確率だこと。

 むすりと、おっさんを睨み付ける。
 別に、このおっさんは何もしてないけど、テメェのナビはどういう躾してらっしゃるんですかぁ?という、言い分を込めた八つ当たりだよ、どーせ。

 けど、おっさんは、くすりと、口元を穏やかに上げた。


 「悪い悪い。こいつはこういうシチュエーションにどう反応して良いか解らないみたいでね。子供の無知のようなものだと思って許してくれ。」


 典型的なカタブツなんだよ。と、完全に笑った口調でそう付け加えた。


 アレか?生真面目真面目で仕事バリバリ出来るヤツが、遊びになったら何したらいいか分かんなくて固まるみたいなもん?

 うっわー。おっさんのナビ、苦しみも悲しみも仕事の中でしか見いだせませんみたいなこと真顔で言えるタイプだったりする?

 ゼッテー、付き合うのあたしには無理そう、、、。
 うげー。


 『申し訳ない…。』


 ぼそりと、けれど、はっきりそう聞こえた。
 あれ?っと、頭の中で疑問が踊るが、消去法により、おっさんのナビの声だと認識できた。

 おー。案外、低い良い声してんじゃん。


 おっさんは、やれやれと、肩をすくめる。
 見せることを渋っていたおっさんだったが、今の温い会話で脱力したのだろう、PETこそ渡してはくれなかったが、PETのモニターをこちらに向けてくれた(にしても、見たこと無いタイプのPETだこと)。


 へーいいじゃん。案外、美形〜。


 「あはは!!いいよ!そんな畏まんなくても!ショージキ、んなに怒ってないしぃ!」


 顔に免じてあたしの機嫌はころりと変わる。

 おっさんのナビは、騎士を思わせる風貌のナビで、珍しい型のナビだと思った。
 どう見ても、事務用とは言い難い感じ。


 あえていうなら、明らかに戦闘バリバリ系。


 、、、なんだろ?
 このおっさん、、、一体、、、何してる人間?

 職業不明って感じだね。


 「はは!おっさんのナビ、あんた格好いいね〜。マジで!!人間だったら顔で食っていけるかもよぉ?」
 『…そ…そうなのか…?』


 おっさんのナビは、酷く困ったように辿々しく言葉を紡ぐ。
 そして、ちらちらとおっさんに助けを求めるように視線を投げるが、おっさんは、意地悪そうに唯笑っているだけ(助ける気ゼロだね、おっさん自身も少し楽しんでいるように見える)。


 「良かったな、顔がにやけてるぞ。

 『……っ!!…え!?…にやけ…!?』


 おっさんの軽口にナビはさっと、赤いフェイスガードに縁取られた自分の顔を触る。
 もちろん冗談。
 にやけるどころか、おっさんのナビの顔は、困り切ってがちがちに強張っていた。

 すぐに、からかわれたことに気付くと(こういうタイプって、冗談だって判別が出来ないタイプだね、からかうとギャップが見れて面白い感じ)、声にならない声を上げておっさんをその電脳の緑を思わせる目で恨めしげに睨む。

 その顔を、おっさんはニヤニヤと、小悪党を思わせる安っぽい笑みで見ていた。
 おっさんのナビは、子供が我慢するように唇を噛みしめた。


 実に表情豊かなナビ。


 全く堅さを見せない柔らかく滑らかに代わる、表情。

 ちょっとばかり、こんな微笑ましい光景なのに、あたしは薄ら寒いものを感じた。
 、、、人格搭載ナビっこんな感じなのか。


 人間と大差かわりない。


 正直に、すごい。
 こりゃ、すぐに広まるわ。


 人間って生き物はこういう代物を好むから、今は高くたって、売れると解れば今は小馬鹿にしている連中だって真面目っこに取り組むよ。 

 娯楽産業の開発はニンゲンが最も真面目に取り組むものだからねー(どんな不景気でもギャンブルが廃れない理由みたいだな)。


 「マジ、凄いねー、おっさんのナビ!ホントのニンゲンみてー。」


 うりうりと、画面に指を近づける(しつこいようだけど、爪が大丈夫なほう)。

 やっぱり、困った表情になった。
 鋭い目を、へちゃりと曲がった眉が滑らかに見せてくれて可愛いねぇ?

 おーもーろーいー。


 『…馬鹿が丸出しで非常に見苦しいぞ…。』


 びきっと、本当に音が鳴ったんじゃないかと思うぐらいの勢いで青筋が生まれた。

 大人しく黙ってたと思ってたら、また突然口を開いた。


 この野郎、、、口開くなよ、、、。


 在っておよそ一ヶ月、部屋の片隅に放置プレイの後、ついさっき口を開き、突然本性を見せたこの野郎。

 なにがしたいのさ。 この無表情。
 、、、ん?無表情?

 あたしは、マジマジと口を真一文字になおした鉄扉面を見る。


 、、、こいつも確か、、、人格搭載型だよな?
 恐ろしく違いすぎるんじゃないんでしょうかねぇ、、、?


 「おっさん、このナビも一応さ人格プログラムは入ってるんだけどさ?どうしてこうも違うわけぇ?」


 軽い愚痴をこぼしたつもりだったが、おっさんはふむと、目を伏せて考え込んだ。
 おっさんが考え込んだのはほんの数秒で、うんうんと、自分でも納得したように軽く頭を振った。


 「多分…人間で言う…性格というか…個性というものじゃないだろうか?」

 「…個性…?」


 それはまた随分と、人間くさい代物だこと、、、。


 「ああ、別に専門家ではないし正しくはないんだろうけど、あくまで私論だ。俺は…、仕事柄というか、任され事というか、何というかで…、最近、結構人格搭載型のナビと会う機会が多くてな。そのナビ達を見ると容姿はともかく、全く違うんだ。明るい感じのナビだったり、落ち着いた感じのナビだったりして…。」


 そこで一端言葉を切る。
 苦い物を銜えたときのように口元を曲げる(にしても、このおっさんまだ、人格搭載のナビって珍しいのに、ようくもまあ、、、このおっさんそっち系の仕事のヤツか?)。

 どうやら言葉を選んでいるように見える。

 話しちゃやばいことでもあるのかねー?


 「…だから…こいつみたいに生真面目すぎる奴も居るんだろうし…、ナビだって色んな奴が居る、…だから君のナビのように不器用なナビもいたって不思議じゃないと思うんだが?」
 「不器用〜ぅ?!」


 言葉まちがってんじゃないか?!


 「どーしてそう思うの?さっきの毒舌聴いたじゃん。」
 「ああ、でも、俺には悪口と言うより、口べたな説教に聞こえたよ。」


 悪意みたいなとげとげしい物を感じなかったから、言葉こそ良くないけど。

 おっさんは、そう倒置法まで使って付け加えた。

 口べたな説教?

 あたしは、マジマジと其奴をのぞき込む、けど、相変わらずの無表情。

 うそだー。


 「まさか…あたしみたいに、ろくに話したこと無いやつに、突然説教ぉ?今まで口開いたこと無かったくせに?」
 「う〜ん…、無干渉イコール無関心って訳じゃないと思うけどな?」


 おっさんは、オトナの顔をして言葉を紡ぐ。
 ふっと、おっさんはその顔のまま笑う。


 「君ももう少し、したら分かると思うよ。」
 「………。」


 完璧ガキ扱いされたことが解った。
 けど、なんか言い返せなかった、、、。


 「もしかして…話すきっかけ作りが苦手だけなんじゃないか?君のナビ?」
 「へ?」


 屈折した状況や言葉でしか相手に声をかけられないような、ウブなヤツだったのか?(あ、ウブはないなウブは)。 図星で、ギクッみたいな反応してくれればまだかわげってもんがあるのに、、、。


 そーなのか?と、PETをのぞき込んでも、ナビは無表情のままだった。
 

 此が嫌で今までほっといた。
 けど、あたしは、おっさんの言葉に興味を持って、、、その無表情に初めて顔を合わせ、、、そして、目を合わせるという、馬鹿みたいに当たり前の行為を、あたしは此奴相手に初めてした。

 すると、ピストルを顔面に突きつけられたみたいにその目を見開き、、、そして、、、。


 、、、前触れもなく画面を強制終了しやがった。


 一瞬にして何も映らない画面にされ、取り残されたような、、、一気に、負け犬の気分にたたき込まれた。

 、、、何、、、この、、、リアクション、、、。
 おぃ、、、!!言いたいことあるんだったらちゃんといえ!無駄に行動で示すな!無駄に腹立つわ!!


 後で覚えてろよ!!今までみたいに、無視決め込めなくしてやる!!
 おっさんのまえで、本性表したのが運の尽き、、、。

 その無表情の顔パックひんむいてやる!!


 「…違うと思いますよー。やっぱ。」
 「そうだね。」


 超高レベルのムカつき度を無理矢理押さえつける声音に、おっさんはおかしくて溜まらないと、言わんばかりの声音で返す(あー!!そうだな!!面白かったですね!!!笑えたでしょうにね!!笑うなら笑えよ!!!)。

 で、この雰囲気の中、おっさんのナビはPETの中で自分はこの場合どうしたらいいのかと、とても困り切った顔だった。
 おっさん、あんたのナビも充分ぶきっちょだと思うけどね(性格は随分そっちとの方がマシだけどね!!)。


 「面白かったですか…!!」
 「かもしれないな。」


 嘘ツケ、確実に面白かっただろ!!

 けっと、此みようがしに顔を不満にひん曲げる。


 「此処はシアターじゃありませんぜー、コメディが見たかったら別を当たってくださーい。」
 「それは勘弁してくれないか?俺は一応お客さんだ。」
 「じゃ、なんか買えよ。おっさん。」


 ガキが小遣いを強請るみたいに、手をくいくいと曲げる。

 おっさんは、やれやれといったご様子で、さっき目を輝かせていた棚に向かい何か薄っぺらい物を三枚ぐらい取り出した。

 取ってきたのは、なんと、大昔の忘れ形見、、、レコードだった。


 素直にびっくりした。
 つーかレコードなんて置いてたんだこの店、、、。
 まさに、何でもぶち込んだジャンクヤードだな、此処は、、、(レコードなんて、あたしが、顔も名前も知らない、じーさん、ひぃじーさん世代のキングサイズのCDだろー?)。


 「これ…聴くのつーか?聴けんのこれ?」


 確か、レコードって専用のハードがないと聞けないんだろ?


 「珍しいかい?」
 「すっごーく。物好きだね、おっさん。」
 「俺は個人的に好きなんだ。」
 「ナビという、最先端科学の申し子と一緒にいるのに、随分とまぁ、レトロなもんがお好きで…。ナビさん、おちおちしてると、あんたのオペレーター、他のことに現抜かされて、浮気されるよー?」
 『…浮っ!?…。』


 あたし、下品な比喩に、カタブツ君は、過剰に反応する(すっげー面白ッツ!!この反応!!!)。
 こういうことに、免疫ないんでしょーねー、予想通り。
 今時、エレメンタリーだって、浮気の一言に、こんなウブな反応みせないっつーの!!


 『あ…あまり…奨励すべき言葉ではないと思うが…。』
 「えー?どうして使っちゃいけないんですかー?あたしー?分かんないんですけど?」
 『だから…その…。』
 「あたしー、馬鹿だから、大きな声ではっきりと教えてくれないと解らないんですけど?あ、他にも、スワッピングとかファックバディとかも駄目なんですかー?」
 『………。』


 けたけたと、笑いながら、汚いスラングをぶつけるあたしに、助けてくれとおっさんに上目遣いで縋るような眼差しを向ける。
流石にこれ以上からかわれるのは可哀想と思ったのか、そろそろ勘弁してやってくれと、ひらひら手を振る。
 

 あたし的には、もうちょっと弄くって、、、と思ったが。


 『…口汚いな…』


 何時、復活しやがったこの野郎、、、。










 写真も何もプリントされてない、タイトルとかが記されただけの、実にシンプルなそのレコードケースに貼り付けてあったかろうじて読める値札を見る(激安、、、)。


 「端数は面倒だからまけるわ、凄い安いし…。たく、一体いつからあったんだか…このがらくた。」
 「俺からすれば、宝を発掘した気分なんだけどな。」


 深い深い価値観に違いですな。

 こんなの、何処が良いんだか?
 あたしは、CDの方が兆倍いい。

 おっさんは、財布から金額のデカイ札を出す。
 釣り払うのが面倒だから、きっかりで払えるように端数まけたんですけど、、、?


 「あのさ…もっと小さいの…。」
 「…ごめん、無いんだ。」


 、、、金持ちだな、このおっさん、しかも普段、ろくに自分で買い物しない生活おくってるな、、、。


 仕事にはかまけるくせに、自分のことはかまわないタイプか?(飯とかサプリメントとかで食ってそう)。
 私物とかあんまりない質なんだろうなー。


 「釣り出すのメンドくさいんだけど…。」
 「じゃあ、釣りはいいが?」


 、、、金惜しみないおっさんだなぁ、、、金持ちの嫌味にとれないこともないが、、、このおっさんの場合は、純粋に金に興味がないんだろうと思った。


 「じゃ、遠慮無く。」


 おっさんから支払われた随分と余計なその札を、レジではなく自分のポケットの中に捻り込む。
 あとで大した額じゃないし、、、あたしん家だし、店をあたしに任したのが悪いんだっつーの、普通予想付くだろ?


 『横領。』
 「いいだろ…別に…今日の店番代の先払いだっつーの。」


 いちいち勘に障るヤツだな、、、。


 ほいっと、おっさんにレコードを三枚とも裸のまま渡す。


 「はい、毎度あり。」


 おっさんはその薄いレコードを満足そうに受け取る。


 レコードのタイトルを全部、見たけど、なんか、タイトルからして、全部大人しそうで静かな曲なんだろうと思った。
 同じおっさんでも、クソ親父とは大違いだ。ウチのクソ親父に音楽をたしなむなんて上等の気質はない。

 クソ親父にとって、クラシックは眠くなるもの、ジャズはバーで女を口説いてるとき流れるBGM、ロックは訳の分からない喚きとか、音楽に対してそのぐらいの認識しかない。


 あたしは其処まで音楽に興味がないわけじゃないから、もし、インターネットでダウンロードできる曲だったら落として聴いてみようかなぁと思った。
 

 んな、こと考えてるとおっさんのPETから電子音が鳴る。

 ああ、なんかおっさんにメールかなと、思った。

 おっさん。恋人から?なんて軽く一言ふっかけようと思っておっさんに目を向ける、おっさんはそれにすうっと黒目がちの目を細めていた。


 ぞくり、、、っ。


 一瞬にして、おっさんの雰囲気は変わっていた。
 それにあたしの身体は、危険を察知するという実に生物的な反応を見せた。

 国を守る公僕さん達に見つかったらヤバい店で一時期酒飲み仲間だった、女ディーラーが付き合っていた男がいた(そんな店にコドモを入れる店もどうかと思うけどね)。
 見た目はがっちりとした体型こそしていたけど何処でもいそうな男だった。けど、なんかスイッチが入るっての?そうなると、明らかに危険なお仕事してますみたいな雰囲気発生させた。

 その危ないお仕事してます的雰囲気に似ていた。


 このおっさん、マジで何者ですか?


 思わず苦笑いを浮かべて、おっさんの鋭さを見る。
 でも、ふっと、発生させたよう時のように一瞬で、その雰囲気が消えた。


 「ありがとう。じゃあ、俺はそろそろ失礼するよ。」
 「おう。たく、もっと買っていけばいいのに。」
 「はは、また買いに来させてもらうよ。この店には、面白い物が何だか沢山あったから。」
 「はいはい。」


 うん、後半イロノモノ扱いだな。


 そして、もう二言三言、おっさんはPETに言葉をかける。
 そして、PETからかえってきたナビの言葉に、オトナの笑顔を一瞬浮かべ、。

 PETをコートに閉まった。


 「じゃ!おっさんまたこいよ!何だか、おっさんオモシロイからさ!」


 イロモノ扱いされた分に少し皮肉を混ぜる。


 「きついこと言うね、まあ良いけど…。ああ、後、さっきから言葉遣い。」
 「あ、やべー。」


 いつの間にか素に戻ってしゃべってたわ。
 でも、おっさんは気にした様子無い。なんか、このおっさん相手に敬語って気持ち悪い、これでいいだろ。

 あ、よくないか、、、。


 『…言葉遣いは相手に誤解をもた「君のも。」


 毒舌からやっぱり来るかと思ったが、おっさんがこの小賢しい台詞を途中でたたき落とした(あんがとな!おっさん、ちょっと小気味いい!)。

 突然意外な人物から、台詞を折られて、、、毒舌ナビはびっくりした顔を覗かせていた、、、。


 その表情はとても、、、笑えた。


 「ぶはっ!」
 『………っつ!!』


 あたし達のそのやり取り見て、おっさんは、からん、からんと、ベルの鳴る店のドアを開けて、出ていった。

 ドアの薄汚いガラスからおっさんが、走っていったのが見えた(足、速いな、、、)。


 からん、、、からん、、、、。


 ベルの余韻も消え、また静かになって、、、。


 「誤解って何かな?」
 『……。』


 そう、にんまりと笑いながら聴くと、、、、また無言に戻ってしまった。まあ、いっか。化けの皮剥がれたし、化けの皮は剥がした方が悪い。


 「じぃいっくり、誤解とやらの説明してもらいましょうか?」
 『…好きに…しろ…。』


 相変わらず無表情なのに、拗ねた声音でしゃべるナビ、あたしは、何だか、小気味言い優越感に浸れて、ささやかな感謝代わりに、おっさんが消えた後に小さく手を振った。


 あ、爪の手入れ忘れてたわ、、、。
 除光液除光液、、、あのポーチ、どこやったっけ?ん〜、、、さっき部屋見たとき、何処やったか分かんなくなってたからなぁ、、、、。


 『ベットの下に、この間蹴り込んでいたぞ…。』
 「お?マジ?サンキュー!!」


 じゃ、まず、本来の目的やり遂げますかね。