短い時間で何とかしましょう



 「ど、どういうわけですかぁああ!!!編集長ぅおおぉおお!!!」
 「今、言った通り。」
 「うそだと!嘘だと言ってくださぁああい!!!」
 「いや、ホント。」
 「いやぁああぁああ!!!嘘でもいいからホントって言ってぇえええぇえ!!!」
 「だったら、意味無いじゃん。」


 すぱんと、切り替えされてしまった。
 のんきに、耳なんぞかっぽじっている、それが、わたしのこの泣き声なんぞ聞こえませんと言っている。


 「いやいや!!ちょ!この取材費でどうやってやれって言うんですか!!!こんなんじゃ無理ですよ!!」


 わたしは、PETの画面に映る今回の取材費を見ろとPETを突きつける。
 本当にいくら何でも少なすぎる、この程度じゃあ、取材材料費をそろえてたら、もう終わり的な予算だ。


 「編集長お慈悲を!!お慈悲をぉおお!!」
 「言うねぇ、君も。」


 はぁと、ため息をつくとすっかり覚めていたお茶を啜る。


 「どぉしてですかぁああ!!!なんでこんな低予算!!!」
 「前回の取材で、君、壊しちゃったでしょう、会社の機具。その、ツケ。」
 「はぅう!!」


 そうです、前回の取材でわたし、壊しちゃったんだ、、、しかも高いヤツ、、、。


 「で、君が、お給料からの天引きだけは勘弁と言ったから。君の取材費から。だから、自力で頑張って。」
 「つーことは、最低限の取材材料費だけ渡すから、後は自分で歩くなりなんなりしろってこと?」
 「うん、もしくは自費で。」
 「マジ!?」
 「マジです。」
 「だったら、お給料の天引きと変わらないんじゃないですか!!」
 「だね。」


 とっても覚めた口調の編集長。
 ぅ、鬼、、、。

 カメラマンであるわたしは会社に服従しなくちゃやってけない。ぅうぅう、、、でも、この予算じゃぁ、、、かといって取材しなきゃ、良くて飛ばされるか、悪くてクビ。
 壊した分になるまで、苦労しなきゃいけないんですね。よく解りました。

 ぅうぅう、、、。










 ああ、どうしよう、、、。

 わたしは困っていた。本当に困っていた。

 朝コンビニによって買った、メロンパンの甘さをかみしめながら困っていた。
 ヒヨッコ新人であるわたしが、会社の機材を壊した時点でクビになってもおかしくなかったのだ、さっきの態度は編集長にとっても失礼だった(後で、編集長の大好きなケーキもっていこう。)。

 でも、でも、、、タダでさえ少ないお給料なのにぃぃ、、、。
 マジで、貧乏な大学時代並みにの生活になる、、、いやだぁあああ!!今度、ほしいワンピがあったのにぃいい!!淡い色合いながらあのカジュアルな感じの!!今度のお給料で買おうと思ってたのにぃいいい!!

 ずぅうんっと、心も体も普段の数十倍重くなった。


 「どうしたの可愛い子ちゃん、せっかくの美人が台無しよ。」
 「あ!先輩!!」


 そんなのんきな声音で、缶コーヒー片手に先輩がやってきた。
 うちの会社でもバリバリ働くことで有名な人で、それでいてとても付き合いやすい気さくな人だ。
 まあ、見た目は、とっても色っぽいっていうか、おみず系なんですけどね(すんごい美人なことには変わりないけど)。


 「助けてくださぁああい!!」
 「え!突然なに!?」


 がばぁあっと、先輩の細いウェストに縋り付く。
 今のわたしには、先輩の美貌の手伝って、女神に見えたのだ。


 「助けて!何にも出来ない!!困ってるんです!!」
 「ちょ!待って待って!!!主語が無くてなにいってんだか分かんない!



 デコピンされた。
 綺麗に整えられた爪が痛い。


 「主語?すいません…お金です。」
 「うん、とっても分かりやすいわね。」


 取り合えず、ウェストからわたしを引き離す。


 「取材費?」
 「はい、こん前のバカで…。」
 「ああ、あれね…。」


 先輩は、ふぅと、長い髪を耳にかけながらため息をつく。
 記憶の引き出しから、わたしのバカを見つけたのだろう。



 「取材の材料費買ったら、移動費は自費なんですぅううう!!!」
 「う〜ん…、それはきついねぇ。次の取材場、結構遠いんでしょう?」
 「先輩なら知りませんか!!出来るだけやすい移動方法!!」
 「うん?」


 先輩は、職業柄も在ってか情報通で、よくお得な情報を教えてくれたりするのだ(ぴよっぴよのヒヨッコの私にはまだそんな情報網は持っておりません)。


 「一円でも、一ドルでも、一元でも、一ウォンでも、安ければいいですから!!」
 「…本当に、困ってるのね。」


 涙目にもなって、、、と、本当に同情したように頭を撫で撫で。
 そして、品定めをするように、わたしを、頭の天辺からつま先まで視線を流す。


 「…まあ…この子なら…問題なしね…。」
 「はひ?」


 ふうと、先輩はさっきとは違った意味合いのため息をつく。


 「紹介してあげるわ。」
 「ほ、本当ですか!!!」


 またわたしは、先輩の細いウェストに縋り付く(にしても、ほっそいなぁ、、、自分のスタイルの本当に自信なくしちゃう、、、)。


 「ある一定の条件を満たせば、タダ同然なの。しかも腕は確か。」
 「ま、ま、ま、マジですか!!」
 「嘘付いたって仕方ないわよ。」


 まったくと、肩をすくめて、もう一度頭を撫で撫で(犬か猫になった気分)。


 「で、何時だっけ次のお仕事?。」
 「あ、はい明日です。」
 「あ、明日だっけ?…う〜ん…明日ね…、今から…大丈夫かしらねぇ
…。」


 先輩はバッグから(ぶ、ブランド物、、、)、PETを取り出して、スリープモードに入っていたナビをたたき起こす(悪いことしちゃった)。
 そして、先輩のナビが半透明なフォログラムで先輩の肩の当たりに出てくる。


 『ふぁい…何でしょぉぉかぁあ?』
 「しゃきっとしなさい!しゃきっと!!」
 『あいあいさぁ〜…。』


 気怠そうに先輩のナビは、首を回す。


 『でぇ〜?ご用件は〜?』
 「連絡。予約を取って欲しいのよ。」
 『んん〜?なんのぉ〜?』
 「あの、軽いパイロット君にフライトの、よ。」
 『あぁ〜、あのぉ〜優男ぉ〜?』
 「そ。」
 「へいへいぃ〜。」


 また気怠そうに首を回し、フォログラムが三十秒ぐらい消える。
 そして、また現れる。


 『優男のぉ〜、ナビに聞いたらぁ〜、予約OKだって〜。良かったねぇ〜。ラッキぃ〜だねぇ〜、じゃぁ〜、オレァまた寝るわぁ〜。』
 「うん、お休み。」


 先輩の言葉が言い終わるか言い終わらないかぐらいで、フォログラムが消えた。
 あんな感じのナビだけれど、意外とやり手。あの先輩のバリバリな仕事っぷりについていけてるんだから凄い(人もナビも見た目に寄らないわね)。


 「ありがとう御座います!!先輩!!壊した機材分の負担が無くなったら、何かおごらせてください!!」
 「随分と…先の話になりそうね…。」


 壊した機材の額を知っているのか、先輩の言葉は不安そうだ。
 新人の給料なんてたかが知れているものね。


 「でも…、大変ね今回。取材、貴女一人でしょう?」
 「はい、私のナビは絶賛健康診断です。」


 前々から入れていた、ナビドッグの予約。今更変更できないので取材は私一人となった(今も居ないのは、今絶食みたいに、無駄なデータを綺麗に落とすために、スリープモードにはいって、データ整理作業をしているから、さっきの先輩みたいに起こしたら、よけーなデータでちゃんと健康診断できないんですって。)。


 「先輩、その格安の…。」
 「ああ、ヘリよ。」
 「そう、ヘリ…って!ヘリコプタァアアア!!」
 「うん。」
 「へ、ヘリがそんな安いんですか!?」
 「まあ、普通はそう思うし、そうでしょうね。で〜も、さっき言ったでしょう、ある一定の条件を満たせばってね。」
 「それって何ですか?」


 待ってましたと言わんばかりに、くすりと、色っぽい微笑を浮かべ、スーツの上からでもはっきりと分かるぐらい張り出した胸をどん、と叩く(うわ、今、胸揺れた、私には、まずあり得ない現象ね)。


 「貴女だったら、何にもしなくても無問題(モーマンタイ)よ!!」


 そういえば、先輩は先週チョイナにいったんだと思った。











 「…ここであってるわよねぇ?…。」


 次の日、私は会社の近くのヘリポートにいた。
 来てみれば、誰もおらず、本当に此処であって居るのか不安になってくる。

 、、、時間を確認。
 、、、約束の五分前には来るのが一応の常識なので、早めに来ようと心がけたのが帰って裏目に出てしまって三十分も前に来てしまった。
 ふうと、ちょっと早すぎたなぁと、ため息をついたその時。


 バリバリバリバリっつ。


 「っ!!」


 思わず耳を塞いでしまう轟音と共に、凄い強風。その音と風の源は上からだった。
 小型のヘリコプターが、今に降りてくるところだったのだ。

 わたしは、びっくりしながらも、風を防げるところへ回避(髪型が崩れちゃう!!せっかく今日は上手くいたのに!!)。

 そして、ヘリはゆっくりと着陸。

 おっかなびっくりで、轟音と強風を生み出さなくなったのでようやくヘリに近づいた。


 「悪いなぁ!お嬢さん遅くなって!!!」
 「わっ!!」


 突然、ヘリの扉が開いたかと思うと男の人がひらりと降りてきたのだ。

 思わず親しみを覚えるような軽い笑みを浮かべた、金髪の恐らく、アメロッパ系の男の人。
 薄い色のサングラスから透けて見える目は意外と、つぶらな感じだ。


 「おっと、驚かせてしまったんならゴメンよ。」
 「い、いえいえ。」


 勝手にわたしが驚いただけだから。


 「あ、あなたがパイロットさんですね。は、初めまして!!」
 「そんな、堅苦しくなくていいよ。」


 初めてあったというのに、とっても、慣れた感じだ。職業柄人付き合いになれているのだろう。
 そして、私の顔をじっと見ると。


 「君、可愛いね!すごくチャーミングだよ。」
 「え、そ、そうですか?」
 「うん。オレ的には、目がくりっとして、子猫ちゃんみたいだなぁと思ったよ。」
 「そ、そんなぁ…照れますよ…。」
 「オレは、可愛い子に可愛いっていっているだけさ。」


 アメロッパ系の人からすれば、ニホン人は幼く見られることが多いと聞く、チャーミングなんてお世辞に決まっている。でも、雰囲気からして悪い人には思えない。フェミニストなのだろうか。それか、ただたんに女の子好きな人かな?にしては、そこら辺のナンパ男みたいなねちっこさがない。やっぱり、フェミニストタイプの人だ。ちゃんと、女性の扱いになれている人だ。女の人で軽々しく遊んでいるという感じではない。



 「君の先輩から、予約が入ったときどんな子かなっと思ってたんだけど…『こらぁっつ!!いつまで、クライアントと話しているつもりだ!!おしゃべりも良いけど、今は仕事だぞ!!』


 おしゃべりが長くなりそうになったのを察したのか、パイロットさんの言葉を遮るように、肩の当たりにナビが、小さなフォログラムとして現れる。明らかに、このパイロットさんのナビなのだろう。
 ヘリコプターを擬人化したような感じのナビで、その外見は何となく小さな男の子が好きそうな感じだ(そういう私も、こういうデザインは嫌いじゃない)。まあ、別にオペレーターの職業にあわせたようなナビは別に珍しくないけれど、パイロットというオペレーターをよく表したようでなんだか微笑ましい。


 「う…!分かってるよ…少しぐらいイイだろ。こんな可愛い子なんだからさ。」
 『クライアントの美醜なんて関係ない!!仕事は仕事だ!!』
 「…たくっ…厳しいんだから…。」


 そのヘリコプターのナビさんは、やれやれと首を振る。


 『すまないね。うちのオペレーター、クライアントが可愛い人だとすぐこれでね。本当に迷惑かけるんだから。』
 「いえ、全然。とっても明るい人ですね。あなたもとってもしっかり屋さんなナビなのね。」
 『へへっ…、オペレーターがあんなのだとしっかりならずにはおれないんだよ。』
 「おいおい!おまえこそおしゃべりしてるじゃないかー!!」
 『おまえとは違う。』


 すぱんと、言い返す分、こんなやり取りにもなれているのだろう。こんなちょっとした会話などで、つきあいの長さが分かるから不思議だ。


 『そんなことより、クライアントは今回は仕事で俺たちに依頼したんだろ?時間、時間。』
 「あ、大丈夫です、まだまだ余裕です。」


 三十分も早く来たんですもの、、、。

 、、、?
 そーいえばなんでパイロットさんもこんな早く来ているのかな?


 それを言ってみると、パイロットさんは。


 「女性との約束に早く来るのは、男として常識だろ?」


 さも、当然とばかりに答えてくれた。


 「だが、今回はこの俺ともあろうものが女の子を待たせるなんて、とんだ、失態だ。」
 「い、いいえ全然!!わたしが勝手に早く来すぎただけですから!!!

 「いや!男として女の子を、どんな事情であれ、待たせるなんて最低なことだ。」


 うんうんと、パイロットさんは自分で頷く。
 ふむ〜、、、パイロットさんには自分なりの絶対ルールがあるらしい。


 「よし、、、。今日は君の初乗りでもあるしな。今回は特別タダだ!」
 「『え!えええぇえええぇぇ!?』」


 予想もしなかった言葉に、私は思わず声を上げてしまった。そして、パイロットさんのナビさんも私と同じタイミングで声を上げた。


 「そ、そんなぁ?!い、いいんですか!?」
 「ああ。」


 や、やったー!!超ラッキーだ!!
 安いと下心が在ってきたのに、まさかタダになるなんて、予想外ラッキー!!!

 ああぁっ!!先輩サマ、女神サマ、こんな素敵な方をご紹介ありがとうございます!!!
 


 『おい!何かって決めているんだ!!?』
 「いいじゃねえか。こんなカワイコちゃんを待たして置いて金をとろうなんて、詐欺だぜ。」
 『バカバカバカ!!そーゆー問題じゃねーだろ!!!!』
 「別に今金に困っている訳じゃないだろう?」
 『あーもー!!どうしてお前って奴は相手がかわいけりゃばんばんサービスしちまうんだよ!!!』
 「だってそうすりゃ贔屓してまた利用してくれるだろ?それに俺は取るところからはきっちり取ってるから、生活に困ってるわけでもないし、そんなに金にガッツかなくったっていいだろう。」
 『そーゆー問題じゃないっていってんだろうがー!!!いっぺんちゃんとオレの話を聞けー!!馬鹿オペレーター!!』
 「ワリィー、ワリィ。」
 『〜っ!!もう知らないからな!!』



 ぷんぷんと、怒りのオーラを発散させながら、小さなフォログラムとして居た彼はしゅんと消えてしまった。
 へそを曲げて、PETの中に戻ったらしい。

 こんなことがしょっちゅうなのだろうか。私は喜んでいるが少し彼には悪かったようだ、、、(やり繰りとかは彼が管理して居るんだろうなぁ、、、)。

 、、、、ごめんなさい。タダより、いま、私に勝ることはないんです。

 でも、良いのかなぁ、、、本当に、、、。



 「ほ、本当にありがとう御座います、、、。で、でも本当に良かったんですか?」
 「いーの、いーの。何時も相棒とはこんな感じだから。これからも、サービスするから、贔屓にしてくれよ。」


 パイロットさんは、そうお茶目にウィンクする(因みに私には出来ない、どうしても両目を瞑ってしまう)。

 はい、贔屓にします。
 お代金が安いなんてやましい心で贔屓にするのはとても悪い気がするけど、、、、。

 このぐらいは許してください、世の中の不景気さは弱小な人間に一番辛いんです。


 今度ご利用する際は何か持ってきます。
 パイロットさんのナビにも、何か今、私が今工面できる差し入れをさせてもらおうと思います(電脳フーズなどいかがなものでしょうか?)。

 心の中で、様々な謝罪をしながら、わたしはそんな、こんなで、かなり早いながらヘリコプターに乗り込んだ。



 ところで、ヘリコプターという乗り物に私は初めて乗ったが、以外と速い乗り物だった。


 目的地まで私が思っているほどかからなそうだった。



 「先輩に紹介されたときは、正直、パイロットさんって言うからもっとおじさんかと思いました。」
 「はは、どうしてだい?」
 「ん〜?なんででしょうか?運転手さんというか、なんでか乗り物を運転している人は、おじさんってイメージかあるんです。」
 「はは、面白いなぁ。でも、格好いいお兄さんで残念だったか?」

 「いいえ。全然。」


 不思議なことに、この人は何というか、気軽に話しやすい雰囲気を持った人だった。
 聞き上手って言うんだっけ?


 「それにしても、ヘリコプターでって、珍しいですね。」
 「ああ、ちょっと前までアメロッパで仕事してたからなぁ。ニホンに来たのは結構最近だ。」
 「お仕事の都合?」
 「それもあるが、後はトップシークレットさ。」
 「?」


 世界のためのなっと、もう一つ付け足すように言う。
 わたしの、意味の分からない不思議そうな顔を見て、楽しそうにパイロットさんは声を上げて笑った。

 やっぱりパイロットさんの言っている意味は分からなかったけど、なんだか、とっても素敵なことを隠している子供のような目で話すものだから、きっとわたしじゃ想像できないような事情なんだろうか?


 『…いい加減にしとけ。しゃべりもすぎるぞ。』
 「あ、漸く出てきたな。」


 パイロットさんが、漸く出てきた自分のナビに悪気無さそうに笑いかけた。

 まだ、顔をむすっとしたままだったけど。


 『クライアントと楽しくおしゃべりしよーが、何しよーが、オレはどうでもいいけど。口軽いのは問題だな。女性を口説くネタに余計なことを出すな。また、彼女と、彼女のナビに突っかかられてもオレはフォローしないからな!!』
 「口説っ…っ?おいおい…もう少しマシな言い方はないのか?まるで俺が、女と来れば見境なしの馬鹿男みたいだろ?それに、お前がフォローしてくれなかったら、アイツはともかく、あのナビに俺は殺される!!それはマジ勘弁!!」
 『ん?悪口を言うのか、頼むのかはっきりしろよ全く…。』


 やれやれと、小さなファログラムは呆れる。


 ところで、彼女って誰?そのナビって誰?
 そのまま、このパイロットさんのカノジョさんってことでいいの?

 、、、う〜ん、、、このパイロットさん男友達として付き合うの楽しそうだから、女友達も結構いそう、、、、だったら、やきもちなカノジョさんだったら結構大変じゃないかな?

 ん?でも、カノジョさんではなくて、そのナビにやられちゃうっていってるってことは、、、???
 よく分かんない、、、。


 「よ、よくはわかりませんが、パイロットさんは別に悪気がある訳じゃ無さそうなので許して上げてくれませんか?あれこれ聴いちゃってる私も同罪っぽいですし…。」
 『いや、あなたが悪いって訳じゃないんですよ。口軽いオレのオペレーターのせいです。』


 きっぱりと、そうパイロットさんのナビは断言した。


 『たくもー、仕方ない奴だなほれ、クライアントを困らせるんじゃない、ほれ出来るだけ早く目的地へ…。』


 と、ナビさんの言葉を遮りように軽快な電子音が鳴る、んっと、彼は顔を顰めると、消えた(といっても、PETに戻っただけ)。
 そして、十秒立つか立たないかでまた戻ってきた。


 『すまない、話の腰を折ってしまって。』
 「もしかしてメール?」
 『ああ。』


 あれっと、わたしは彼がいじめっ子のような笑みを浮かべてるのに気付く、しかし、その笑みは私に向けられたものではない。

 んん?

 そして、その人の悪〜い笑顔で、パイロットさんに笑いかける。


 『前言撤回だ。クライアントがいいなら、目的地までは時間さえオーバーしなければゆっくり行って良いぞ。』
 「「え?」」


 今度は、わたしとパイロットさんが声を揃える番だった。
 だって、彼が今言ったことは今さっきとは真逆だったのだから。


 「な、何でだ?」


 その様子に、嫌な予感を感じたのか、パイロットさんはわざわざ聞き返す。でも、それを待ってましたとばかりに、更のその笑顔を深くする。


 『ん〜?最後の良心って奴かな?』


 、、、ナビさん、それ思いっきり悪役の台詞です。


 パイロットさんは、なんだか居心地悪そうな顔をする。
 うんうん、解ります、その気持ち。

 中途半端に真実を焦らされるのって意外と気持ち悪いですよね〜。
 ヒント貰ったのに解けないクイズみたい。

 おや?ナビさんのささやかなる逆襲かしらこれ?


 先ほど、迷惑みたいなのかけちゃったみたいだし、、、遅刻しなきゃ、、、良いかな?
 よぉし、ちょっと、ナビさんに手を貸しましょう。



 「ああ、いいですよ。わたしは遅刻さえしなきゃ大丈夫です。」
 「そ、そうかい?じゃあ、ちょっとおしゃべりといこうか。」


 むふふふ〜と、いわんばかりに、口元を緩やかに曲げる自分のナビを後目に、パイロットさんはおしゃべりと決め込んだ。
 後のことより、今のことを選んだのでしょうね。

 まあ、わたしにとっても悪いことではないし(おしゃべりは別にわたしも楽しいので)、いいでしょう。


 そして、パイロットさんは少し速度を緩めた。
 わたし達は時折ナビさんを交えながら、おしゃべりしながら目的地に向かった。











 そして、結構しゃべったとは思ったけれど、なんやかんやでつきました。
 取材場所の近くのヘリポートにつきました。

 時間は、全然余裕だった。


 「ありがとう御座いました!!」
 「なに、いいってことさ。」


 ぺこりっと、わたしはパイロットさんに頭を下げる(お礼を言うときは、誠心誠意と、先輩の教育がばっちり利いています)。


 『クライアント。改めて、初めての空の体験で、こんなナンパ男に付き合わせて悪かったな。』
 「いいえ、全っ然!!!」


 ナビさんは冗談じみてオペレーターの軽口を叩く。


 「迷惑なんか全然思ってませんし、あなたにも逢えて良かったです。」
 『なんだか照れるね。』
 「おいおい、何でお前がモてるんだよ。」
 『そりゃまあ…無欲の勝利だろ?』


 と、至極当然のことのように言うナビさん。
 パイロットさんはその言葉に、苦虫をかみつぶしたように口ごもる。
 どうやら、最終的にはナビさんの方が強いらしい。むむ、、、この光景、、、人ごとでなし。

 ドックから帰ってきたら、明日は我が身です。

 、、、なんでナビってお世話焼きさんが多いのでしょう?

 悪いことじゃないんですがね、耳が痛いのは嫌です。


 「それでは、また。」


 そして頭をもう一度下げて、踵を返そうとしたその時、、、。


 「見つけたぞ!!この優男ぉおおお!!!!」
 「げ!?わぁああああああ!?なんでぇええぇえええ!?」


 わたしの背後から、低い男の人の声が響く。当然わたしの背後にいるわけだから瞬時に姿を見ることはできない、けれど、私と向かい合っていたパイロットさんはその男の人を見て、悲鳴を上げた。

 何だろうと、振り返り、彼を認識する前に、ずんっずんっつ。っと、かなりヘビー級な足音を立ててわたしたちのトコまでやってきた、正確には、パイロットさんにつかみかかるために。

 思わず、ぽかんと、口を開ける。


 だって、てっきり、男の人かと思ったんですもん。人間の、、、。


 いや、男ってことはあってた。
 それが、明らかに人間じゃないことを除けば、、、、。


 「あの…え?」

 「貴様ぁああ!!なにが仕事だ!!お嬢様というお方がありながら…っつ!!」
 「ち、違う!!違う!!誤解だ誤解!!ほ、本当に仕事っ…!!」
 「ぇええぃい!!言い訳とは!!!前回は客だと良いながら、色めいた長髪の女といて!!今度は、まだ子供のような女にまで手を出したか!?節操がないのにも程がある!!!なんと破廉恥な…っつ!!」
 「誤解だっていったんだろぉおおおっつ!?」


 一気に蚊帳の外に出されたわたしは、ぽかんとして、客観的に見たら、かなりおまぬけに見えたと思う。


 誰??この上半身が磁石の鎧みたいなナビさん?(バランス悪そうだなぁ、、、)。
 てゆーか、何で現実世界にナビさんが居るわけ?もして、此が噂のコピーロイドですか、、、わぉ、初めて見た、、、わたし、まだテレビとかでしか見たこと無かったし、実際見るの初めて、、、(実用化されてるってホントだったんだぁ〜)。

 もしかして、お嬢様というお方がありながらって、、、ああ、さっきいってたパイロットさんのカノジョさん?そのナビさんかぁ、、、。

 あー。だから、さっき殺されるとか物騒なこと行ってたのね〜、このままだと、本当にパイロットさん危なそうだね〜(ん?確か、ナビにしろ、コピーロイドにしろ、人間には危害を加えられないんじゃなかったけ?あれ?でも、、、ま、いっか、、、
)。

 うわぁ、手、おっきい、、、パイロットさんそのまま握りつぶされそう(あんな大きい手で詰め寄られてさぞかし苦しいだろうなぁ)。
 にしても、躯、、、おっきいなぁ、、、二メートルとまでぎりぎりいかなそうだけど、、、おっきい、、、。


 あれー?今、話に出てきた、「色めいた長髪の女」ってもしかして、、、、もしかして先輩?

 うん、そうだったら。それは、ナビさん本当に勘違い。先輩見た目でそれっぽく見えるけど、二股やられるのも、二股やるのも、絶対に許さない、一途な人なんですよ。意外と潔癖な人なんですよ。
 先輩今付き合ってる人いるんで、違います、確実に(写メで見せてもらったことあるけど、なんだろう、、、七三分けしたいかにも、サラリーマンですって感じの男の人だった、、、一緒に映ってる先輩が更に良い比較になって、、、。)。

 はっ、、、!てことは、「まだ子供のような女」ってわたし!?わ!軽くショック!!

 う、でも、短大出たばっかりだよ、、、わたし。

 た、確かに、タダでさえ低い日本人女性の平均身長より更に小さくて、、、む、胸とか先輩と比べれば、無いに等しいけど、、、じ、自分でも、高校生ぐらいっぽいなぁって思うけど、、、たまに、たまぁああに(本当に)、中学生とかに間違えられるけど、、、、!!!!

 「まだ子供のような女」は流石にショックです、、、。


 『クライアント、クライアント。いい加減、こっちの世界に帰ってきな。』


 一気に、現実から思考の世界へ飛ばされたわたしを、パイロットさんのナビが呼ぶ。 


 「はっ…!はひぃ!!!お!おはようございますです!!!」
 『あ、戻ってきた。



 おかげで、戻ってこれました。
 ありがとう御座います。


 「あの…えっと…もしかして…「最後の良心」さん…?」
 『うん。怖ぇだろ?』


 パイロットさんのナビは、にかっと笑う。
 どうやら、正解のようだ。


 「そして、
さっきの、メールの相手ですか…。」
 『そう。予想してたかもしれないけど、アイツの一応、現カノジョのナビさ。』


 アイツは、その仲を認めたくないみたいみたいだけどなぁ、っと、笑うパイロットさんのナビ。あなたのオペレーターさんのぴんちによくのんびり見てられますねぇ、、、。
 わたしは、まだパイロットさんにつかみかかっている磁石鎧なナビさんをみる。
 鬼気迫る顔、、、あー怖い、、、。


 「娘を取られたことに怒ってるお父さんみたい…。」
 『うんにゃ、父親の方は公認してるぜ?』

 
 だったら、お父さんより、怖いってことね。
 うわぁ、カレシ検定の基準滅茶苦茶厳しくて高そうだなぁ、、
、。


 「助けては…。」
 『やらん。最近図に乗ってたから良い薬だ。今回は、後少し、フォローしてやる程度で充分。』


 流石に殺しはしないから。

 と、さらっと物騒に言葉を零す。
 あら、慣れてやっしゃるの?


 「…た…っつ!助けてくれぇええええぇぇええ!!!」
 「見苦しい!!」
 「あ…。」
 『いいからいいから。クライアント、いきな。巻きこまれるぞ。』


 小さなフォログラムの彼は、私の肩を押す(フォログラムだから感触とか無いけれど、、、)。

 でも、、、、そう言おうとしたが、彼がああなりたいのか?と、パイロットさんを指す。
 白い大きな手に自分が、、、と思うと、、、。

 、、、い、嫌です、、、、。


 『な?』
 「はい…、ぱ、パイロットさぁん!!!ごめんなさぁい!!」


 一応、謝っておきます。
 因みに、、、大声を出しているのは、一定距離を離れているからです。


 「あ、でもぉ!!そこの大きなナビさぁん!!」
 「ああっつ!?」


 パイロットさんにはお世話になったし、一応のフォローは、、、。


 「何か前科があるかはしりませんが!!本当に今回はお仕事です!!信じてあげてくださーい!!!」


 わたしのその言葉にむむっと、少しだけパイロットさんを掴んでいた白い大きな手を緩める。


 「そ、その通り!!さっきから誤解だっていっただろう?」
 「………。」


 まだ、納得いかない、と言わんばかりの顔だ。


 「ありがとう!お嬢さん!なあ、こいつを納得させてくれ、誤解で殺されたらたまったもんじゃない!!!」


 パイロットさんは、わたしに精一杯の助けを求める視線を投げかけた。


 「えっと、えっと…あ、私とパイロットさんは今日で初対面ですし、それに…ただ仲良くおしゃべりしただけです!!何ら、やましいことなんてありません!!!」


 磁石鎧なナビさんは、しぶしぶとパイロットさんを離した(ゆっくりと、降ろしたんじゃなくて、ぱっと手を離した)。


 『一応、納得したみたいだな。』
 「ははは、自分のせいでって後味悪そうなんで…。」


 あ。と、わたしはもう一つ言い忘れたことを思い出した。


 「後、さっきいってた、色めいた長髪の女って、多分わたしの先輩だと思います!!だったら誤解です!!先輩付き合ってる人居るんです!!」


 そのとき、びしりって、本当に音がしたように周りの空気が固まった、、、。

 あれ、、、?わたし、やばいこと言った?


 わたしは、答えほしさで、苦笑いで、パイロットさんのナビに笑いかける。


 『…クライアント。もういきな。』
 「…はい、また近いウチに会いましょう。」


 これ以上居たら、わたし、墓穴を掘ると解りました、、、、。


 そして、わたしがくるりと出口に身体をを向けると、、、。


 「貴様ぁああぁああああ!!!連れ合いがいる女に手をだしたかあぁあああ!!!」
 「わぁあああぁああああああ!!!違うぅうううぅうううううう!!!」


 「ご、ごめんなさぁあああぁあああぁあいいいぃいいい!!!!」
 『気にすんなー。』


 背後から、、、ああぅう、、、。

 パイロットさんのナビが、実にのんきに、気にするなと入ってくれますが、気にします。
 パイロットさん心から謝罪します。



 でも、、、、利用させていただきます!!!!



 先輩に連絡先効かなきゃ!!!



 「また、お願いします!!」
















 久々のSS何とか一本。

 いやはや、これを書く前に、没稿が、三本あったんですが、、、全てどうも途中で挫折、、、(スランプ?いや、文才がないだけか、、、)。

 やっぱり、計画性を持って書くのが一番ですね。

 前三本は、ポンッと思い浮かんでぱっと、書いていきづまったものですから、、、、。

 にしても、チャーリーさんとジャイロマンさん出せてうれしかったです。

 あと、本当は、マグネットマンさんだけじゃなくて、テスラさんも出したかったんですけど、、、、そうすると、「世界観を借りた話」では、版権のほうも、オリジのほうも、名前を出さないと、自分ルールで決めているんですけど、それだと、、、難しくなりまして、、、。

 ですから、今回はマグネットマンさんだけ、、、。

 ほとんど後半、彼を出しちゃったせいもあって、彼で〆ちゃいました、、、。

 今度は、ちゃんと、テスラさんを使ってみたい、、、、。


 あ、てきとーに、新人カメラマンっぽく書いてみましたが捏造純百パーセントですので、多少の矛盾は許してください!!


 この「わたし」は、一応、ベビーフェイス系のかわい子ちゃんで書いてみましたが、、、どうでしたか、、、?(伝わったらいいなあ、、、。)