迷子の間
こわれていない、きれいで、おおきいたてもの、、、たくさんのひと、、、。
わたしはただあっとうされていた。
二ひきのでんのーじゅーのたたかいがおわって、だいぶん、たつけれど(一年くらい、、、かな?)、わたしは、あまりふっこーがすすんでいないところにすんでたし、ものごころついたときから、がてきだらけの小さな、ぎりぎり町とよべるかどうかというところしかしらないから、今いるところは、わたしにとってはすごいのだ。
わたしはそんなばしょで、ひとりでひとにおしつぶされそうになっていた。
おにいちゃん、、、。
わたしはそう口のなかでつぶいた。
ほんとーはわたしひとりではなく、ここにはおにいちゃんもいるはずだったのに、、、。
これもすべてわたしのせいなのだけれども、、、。
おにいちゃんがあれだけ、はなれないように気をつけてくれたのに、、、。
おにいちゃんの手を、ひとにぶつかったとき、おどいて思わずはなしてしまった。
そのとき、ひとごみにおされて、このえきでおりてしまった。
まどからちょっとだけ見えたおにいちゃんの顔が、わすれられない。
今きっと、おにいちゃんは、すっごくすっごくしんぱいしている。
ちゃんと、もっともっとにぎっておくんだった。
もう、、、おそいけれど、、、。
わたしは、けーたいももっていなければ、PETももっていないから、、、おにいちゃんにれんらくのつけようもなかった。
「…ぉ…ぉにぃちゃん…ぅ……ふぇ…ぉっ…おにぃい、ちゃぁん…。」
わたしは、ただ泣くしかなかった。
けど、こんなにひとがいる中で泣くのは、はずかしかったから、、、でん車がみえる小さなすきまにもぐりこんで、、、泣いた。
すっぽりとおさまってると、ちょっとだけ落ちつけた。
ひろいところは、今でもにがてだ、、、。
わたしは、、、おにいちゃんといままでずっと、くらしてきた、いっしょによりそって、、、。
おにいちゃんはちょっとだけ、おぼえているみたいだけれど、、、わたしは、おかあさんともおとうさんともくらした思い出がない(顔も声をわからない)。
ふつーの家に、、、すんだ思い出もない、、、。
わたしがしっている、、、、すむところは、、、おにいちゃんとすんでいたがらくたでできた家か、きゅえんぶたいの人たちが、ていきょーしてくれたテントの中だ。
だから、、、こんな、、、てつと、コンクリートで、できた大きくてきれいなたてものは、わたしはなれてなくて落ち着かない、、、。
こわい、こわよぉ、、、。
おにいちゃん、、、。
おにいちゃん、、、ひとりにしないで、、、はやくかえってきて、、、。
かたかたと、ここはぜんぜん寒くないのに、、、こわくて体がふるえる。ぎゅっと、バッグをかかえるように体を出来るだけ丸くした。
ほんとーにこわい。
いままで、、、、おにいちゃんと、、、こんなに長くはなれたことはないから、、、。
おにいちゃんがはやくかえってきますように。
おにいちゃんがはやくかえってきますように。
おにいちゃんがはやくかえってきますように。
おにいちゃんがはやくかえってきますように。
おにいちゃんがはやくかえってきますように。
もう、泣きながらくり返しくり返しそうつぶやいた。
ちょっとだけ、ひざから顔を上げてでん車を見る。
けど、いくらでん車が止まって止まっても、おにいちゃんはおりてこなかった。
ほとんどあいだをあけけないで、どんどんでん車がくるから、、、もしかしたら、、、私が見落としてしまうかもしれない、、、。
そうかんがえたら、、、よけいにこわくなった、、、。
、、、おにいちゃん、、、。
、、、一時間ぐらいたった、、、。
ずっと、でん車を見ていたから、、、なんだかつかれてきて、おなかもすいてきた、、、。
でも、、、それいがいどうしようもなくて、、、そうするしかなかった、、、。
ふっと、目の前が少しくらくなった。
びっくりして、顔をあげた。
ずっと、ひざからわずかにのぞく前しかみていなかったから、、、上のほうは気をつけていなかった。
見なれない青いふくがみえた。
「こんなところでどうしたのかな?」
『なんで、そんなとこにいるんだよ。』
おんなじことをいう二つの声がふってきた。
「…………っ。」
わたしは、わたしをのぞきこむひとと、そのかたにうかぶへんなのに、、、おどいて声がだせなかった。
『お、おい…。そんなに震えなくてもいいんだぞ?』
「ああ、すまないね。突然知らないおじさんに声をかけられたら、驚くのも無理ないね。」
『ははは。お嬢ちゃん、んなに怖がらなくていいんだぜ。このおじさんは、怖くないから。』
かたかたとふるえる、わたし、、、おにいちゃんいがいのひとと、あんまりおしゃべりしたことないから、、、ほかのひとにはなしかけられるのがこわい、、、、青いふくのおじちゃんもちょっと怖かったけど、、、青いふくのおじちゃんのかたでうかぶ、、、ふしぎなかたちをしたへんなののほうがこわかった。
、、、これが、、、ナビ、、、というもの、、、なのはわかったけど、、、。
「…ぅっ…うぇっ…ん…ふぇ…っ…ぇえぇぇえぇぇぇっ。」
『あ!泣いたぞ!』
「おやおや…。」
青いふくのおじちゃんが、しゃがんで、私の目せんにあわせた。
びっくりしたけど、、、青いふくのおじちゃんはやさしい顔をしていた。
ちょっとまえにあった、コートのおじちゃん(コートのおじちゃんのほうが若かったけど)もこんな顔でわたしを見てくれた。
「どうしたのかな?」
「…ふぇ…ぇくっ…ぉ…ぉにぃ…おにぃ…ちゃんと…ぅっ…うぅう…はぐれ…ぅえぇえぇえ…。」
、、、おにいちゃんとはぐれちゃったと、、、さいごまでいえなかった、、、。
『迷子か、やっぱり。』
「こらこら。そんなにぶっきらぼうにいうものじゃない。」
『…解ってるけどよ…お嬢ちゃん、おーい、泣くなー。泣くなー。怖くねーぞ。』
「…ひゃぁ…っつ!…ぅ…ぅう…ふぇええぇええええっつ…。」
『ぇ!ぇええええぇええっつ!?なんで!?』
、、、へんなのが、きゅうに顔にちかくにきてびっくりした、、、。
わたわたと、へんなのが、あわてているのはわかったけど、、、なんか、、、とまらない、、、。
「…っふぇ…ぇえぇっ…ぅぇえええっ…うぅっ…ふぇえぇ…。」
『どうしたんだよ?』
「………もしかして…君はナビが…怖いかい?」
青いふくのおじちゃんは、へんなのを、さしながらわたしにきいた。
、、、ちょっとこわいというのとはちがうよーなかんじがしたけど、、、でも、うまくいえなくて、わたしは、うんうんと、うなずいた。
「…これは…失礼した…悪いが…今は戻ってくれ…。」
『おう、解った。なんか、怖がらせてごめんな。お嬢ちゃん。』
へんなのは、たいして気にしたようすはなく、青いふくのおじちゃんがだしたPETにはいっていった。
「とりあえず顔を拭きなさい。」
「…ぅ…。」
青いふくのおじちゃんは、きれいなハンカチをわたしてくれた。
おずおずと、きれいなハンカチをうけとる。
いいのかな?と、ちょっと首をかしげてみたけど、青いふくのおじちゃんは、しずかにうなずいたから、、、ちょっとためらったけど、顔をふいた。
「さあ、おいで。そんなところにいたら体を冷やしてしまうよ。」
白いてぶくろの大きい手が、さしだされた。
大きい手だなぁと、思った。
いつもわたしが見る手は、おにいちゃんの手だから、、、。
おにいちゃんよりどれくれらい大きいんだろうとと、思いながらおじちゃんの手につかまった。
「…ぁ…でも…ぉにぃちゃん…が…。」
泣いたあとで、なんだかしゃべりづらくて、言ことばがうまくでなかった。
「お兄さんと、君ははぐれたんだったんだね。」
「…ぅん…。」
「何時その電車は出たんだい?」
「…ぃちじかんくらい…まぇ…。」
「このホームからかい?」
「…ぅん…。」
「そうか…どんな電車だったかな?覚えてる限りでいいから言ってみてくれ。」
「…しろとくろとあかで…ながくて…さぃしょにでんしゃにのってきてここでとまるまでとまらなくて…ひとがいっぱいのってて…たべるとこと…ねむるところがあって…ぁんまりあたらしくなくて…ひとがいっぱいなのにあんまりおおきくなくて…ぁと…うしろのほうにいっぱいおにもつがあって…ぇっと…ぇっと…それくらぃ…かな…。」
「ありがとう十分だよ。」
青いふくのおじちゃんは、ちょっとだけ考えこむように目をとじた。そして、三びょーくらいして目をあけた。
「…君が乗ってきた電車は、次の駅まで止まらない電車なんだよ。戻ってくるまで往復で後、三時間ぐらいかかるかな。」
「…そ…そんなぁ…。」
おにいちゃんと、そんなにあえないんだと、またなみだがでそうになった。
「ああ…。すまない。悪気はなかったんだが…。」
「ぅ…。」
青いふくのおじちゃんは、もう一回すまないといって、にぎった手を、もうかたほうの白い手とでつつむようににぎってくれた。
「…ぉにぃちゃんは…かぇってきますか…?」
「ああ、大丈夫だよ。おじさんが次の駅の人にちゃんと連絡もするよ。」
「…ぉねがぃします…。」
ぺこんと、頭をさげた。
ほっとした。
ぎゅぅっと、おじちゃんの白い手をにぎった。
こんどははなれたらいやだから、、、。
「とりあえず、センターに行こうか。」
「はぃ!!」
おじちゃんのいったことがうれしくて、わたしはおっきい声で返事をしたら、、、。
くぅぅぅううう、、、。
「…ぁっ…。」
おなかがなった。
、、、ごはん、、、まだ、、、たべてなかったし、、、いっぱい泣いてつかれたから、、、。
あと、ほっとしたから、、、。
でも、はずかしくて、顔がかぁあっと、あつくなった。きっと、まっかになってる、、。
はずかしくてはずかしくて、、、、顔があげられない、、、。
「…〜っ…。」
「お腹が空いたのかい?」
「…そんな…こと…なぃです…へーきです…だぃじょーぶです…。」
でも、おじちゃんはにことわらった。
「センターに行く前に、食堂の方に行こうか?」
「…だ…だぃ…じょーぶ…です…ほんとーに…。」
もぞもぞと、うつむいてしまう。
でも、おなかが、くぅっと、またなった。
「恥ずかしがることない。ここのご飯はおいしいよ。」
「…ごめんな…さぃ…。」
バッグをもって、おじちゃんの手にひかれていった。
ちゃんと、ぎゅぅっとにぎった。
「てつどーぅんてんしゅ?」
「…そう。ここで電車を運転したりするのが私のお仕事だよ。」
わたしは、おじちゃんにつれられて、しょくどーで、ごはんを買った。
買ったといっても、、、わたしじゃなくて、、、おかねはいいからって、おじちゃんが買ってくれた。
、、、ごはんを買うための、、、しょっけんというものの買いかたがわからなかったし、、、あと、、、わたしは、、、あんまり文字がよめなかったから、、、おにいちゃんが、ちょっとだけもたせてくれていたお金をわたして、買ってもらおうとしたら、、、おじちゃんはいいといって、わたしに、かんたんにすききらいをきいて、おじちゃんがじぶんのおかねで買ってきてくれた。
お金はいいと、おじちゃんはぜったいにうけとらなかった。
、、、ありがとうございますって、いっぱいいった、、、。
みたことないごはんのならびかたに、ちょっとおどろいたけど、、、あったかくておいしいごはんだった(しょうがやきてーしょくというらしい。おにくのやいたやつだ)。
おじちゃんのほうは、おさかなのやいたのがついているてーしょくを、のんびり食べた。
「…ぁのだったら、わたしめーわくでしたか…?」
「大丈夫。私は今お昼休みなんだよ。それに今日は、夜まで私のお仕事はないんだ。」
おじちゃんは、おちゃを、しずかにのんだ。
「…ところで…君はさっきナビが怖いと言ったね…。」
「ぅん。」
おじちゃんは、ふと、思い出したようにわたしに、じっとむきあった。
「どうしてだい?まあ、これはおじさんがちょっと気にかかっただけのことだから。答えなくてもいいんだが…。」
わたしは、おじちゃんのそのしつもんを、ちょっとかんがえた。
「ぇっと、んっと…んー…。ぁんまりみなれなぃ?からかな?」
「見慣れない?」
「…ぅん。わたし、でんのーじゅーが、ぁばれるまぇのことおぼえてなくて。わたしがぃたとこ、ぃっぱいひとがぃたけど、ぁんまりなびはぃなくて、ぃてもぃばってるひとが、ちょっとだけもってただけだったし。みんなこわかったから、わたし、ぁんまりぃぇからぉそとからでなかったから…もっとみなかった。ぁと、きゅーぇんぶたぃのひとがなび、ぃっぱぃもってたって、ぉにぃちゃんがぃってたけど…。」
そこで、のこってたコップのお水をごくごくとぜんぶのんだ。
「わたし、ずぅーと、てんとのなかでねむってたの。かぜがわるくなって、はぃえんってぃぅのなっちゃたんだって。あつくてくるしくて…だから、ぉそとをぁんまりみなかったの、でなかったの。」
「…そうか。そういう意味で怖かったのか…。」
おじちゃんは、どこかあんしんしたようにつぶやいた。
「私はてっきり、ゾアノロイドに怖い目に遭わされでもしたからかと…。」
「ぞぁのろぃど…?どーして?ぞぁのろいどがこわぃと、なびがこわぃのですか?」
おじちゃんは、しかめた顔になった。
わたしは、おじちゃんに、なんかわるいことをいったのかなと思って、ごめんなさいと、いった。
でも、おじちゃんはちがうよと、なにも、わるいことはいってないよと、首をふった。
「…すまないね。私はどうも口べただ。」
「くちべた?」
「上手に言葉を伝えられない人のことをそういうんだよ。」
おじちゃんのいってることは、、、なんかむずかしい。
おとなのひとが、このせかいがこんなふーになってしまったのはでんのーじゅーとゾアノロイドのせいだといっていたけど、わたしにはよくわからなかった。
わたしは、でんのーじゅーをみたことなかったし、ゾアノロイドも、みんなこわいと、いってたけど、、、わたしはゾアノロイドを、とおくからとか、ちらりとみたことなかったから、よくこわいいというものがわからなかった。
おにいちゃんが、一回ゾアノロイドにうんっとひどいめにあわされたんだと、いっていたけど、、、わたしはねむっていてぜんぜんおぼえてない。
、、、そーだからか、、、みんなが、こわいこわいというのが、なんでかは、、、わからなかった、、、。
、、、おにいちゃんは、まだまだわたしが、ちっちゃいからだっていってたけど、、、。
おじちゃんは、PETをつくえにおいた。
あの、へんなのがでてくるんじゃないかと、ちょっとおどろいたけど、でてこなかった。
「どーしてなんでしょぅか?ぞぁのろいどは、ぞぁのろいどで、なびじゃなぃのにへんですね。」
「…そうだね…おじさんもそう思うよ。」
おじちゃんは、きこえなくなっちゃうんじゃないかなと、おもったぐらい、声がちっちゃかった。
「ぉじちゃんは、なびがこわぃのはいやですか?」
「…嫌だよ…自分の長年の友達を否定されているようで…。」
おともだち。
わたしにはいない。
わたしとおんなじ、としの子に、あったことだってすっごく少ない。
いつだって、わたしは、おにはいちゃんしかいなかった。
「ぉともだちがぃるってどんなかんじですか?」
おじちゃんは、ちょっとまよったよーに、んーと、へんな声をだしてくびをかしげた。
「…そうだね。一緒にいると、寂しさとか、心細さとかを、感じないとでもいうとこ…かな?」
おじちゃんは、うまくせつめいできないよと、ごめんねと、いったけど、わたしは、、、いいなぁと思った。
さみしくない。こころぼそくない。それをかんじないっていいなぁと思うった。
わたしは、、、おにいちゃんがいなかったら、、、うんっとうんっとさびしくて、こころぼそい、、、。
「ぃぃなぁ…。」
わたしは、おもったことを、こんどは口にだしてつぶやいた。
そしたら、、、鼻のおくがつんといたくなって、ぼろぼろと、なみだがでてきた。
「君…?」
「…ごっ…めんな…さぃ…な…なんでも…なぃ…なんか…とまら…なぃ…よぉ…。」
えっぐひっくと、へんな声ででてくる。
目があつい、鼻がいたい。
おじちゃんは、だいじょうぶかいといって、ぽんぽんと、やさしくせなかを、たたいてくれた。
大きくてあったかい、、、。
『おーい!お嬢ちゃん泣くなよ!!』
「ひゃ…!」
またへんなのが、、、ちがう、おじちゃんのナビが、とつぜんPETから出てきた。
『お嬢ちゃんがオレを怖がってるみたいだから大人しくしているつもりだったけどよ…。お嬢ちゃん、あんまオレのオペレーター困らせないでくれよ。だからさ、泣きやんでくれよ。』
「…なぃ…てなんか…なぃ…も…ん…。」
『いやいや、泣いてるだろう。どう見たって。』
おじちゃんのなびは、やれやれと、首(?)をふる。
『何で泣くんだよ。今までオレ、大人しくしてただろう?』
「…ぅうん…ぁなたの…せーじゃ…なぃの…。」
だれのせいでもないの。
ただ、いいなぁって思っただけ。
『よくわかんないなぁ子供って…。』
「まあ言うな…。」
おじちゃんは、やさしくわたしにこっちをむいてといった。
きっと顔はぐちゃぐちゃになったから、はずかしかったけど、わたしはおじちゃんのほうをむいた。
「いいなと、いったね。どうしてだい?」
「…わたし…おにぃ…ちゃん…しか…ぃな…ぃ…から……」
「うん?」
「…ぉじ…ちゃんた…ちが…ぅら…やましぃ…なって…ぉもっ…て…。」
「…うん。」
あとはよくわかんなくなって、うーうーて、へんな声しかでなかった。
おじちゃんのナビがぴょこんと、わたしの前にやってきた。
『よく解らないけど、お嬢ちゃんは一人が嫌ってことなのか?』
わたしは、おっきくうなずいた。
そのあと、エプロンのおばちゃんがやってきて、どうしたんだいと、つめたいぬれたタオルをもってきてくれた。
つめたいタオルが、いっぱい泣いてあつくなった顔にきもちよかった。
すんすんと、まだじぶんでもへんなしゃっくりが止められなかったけど、泣くのは止まった。
おじちゃんと、へんなの、、、じゃなかった、おじちゃんのナビは、わたしが、泣きやむまで、まっていてくれた(へんなしゃっくりでだんだん声がかすれてきて、だんだんと、のどがむずむずとしてきた)。
そして、おじちゃんはつめたいお水を、なんにもいってないのに、わたしが思ってたことがわかったみたいに、わたしてくれた。
のどがかわいたから、、、ほしーなーてちょっと思ってたから、うれしかったと思ったのといっしょに、ちょっとおどろいた。
「…ぁりがとぅ…ござぃ…ます…。」
「…どういたしまして。けれど、今のは私じゃなくてこっちの、私のナビに言ってくれるとうれしいな。」
「…ぇ…?」
『…あ?』
びっくりした。
といっても、わたしだけじゃなかったみたいだけど、、、。
『オレにもしてないぜ?』
「いや、してくれたよ。」
くすくすと、おじちゃんは、おかしそうにわらった。
「こういうに私は疎いと、君は昔から私に言ってくれたから…ね。そのおかげだよ…。」
『…な、なんか照れくさいこと、さらっと、言ってくれるな…。』
おじちゃんのナビは、いもむしみたいなからだを、ちょっとだけゆらした。
なんだか、目せんをそらすよーにみえて、みょうに、、、おかしかった。
「…へんなのー。」
『…へ…変なの…!?オレのことか!!何処が!?』
ちょっと、きずついたよーな声だった。
それがまた、おもしろくてわらった。
おっかしくて、おっかしくて、力をぬいたら声を出してわらいそうになるぐらい、おかしかった。
口をおさえて声を上げるのをがまんした。
おかげで、からだがふるふるとふるえてきた。
おじちゃんは、そんなにわらわないであげてくれと、せなかをまたさすられた。
そして、おじちゃんが、顔を上げたわたしににっこりわらいかけてくれた。
「…まだ…こいつが怖いかい?」
「…ぅぅん、こわくなぃです。」
、、、もうこわくなかった。
わたしはきっと、おとなのひとが、ゾアノロイドもナビもいっしょに、こわいこわいというのをどっかで、そのまんまこわいものとしてとってたんだなぁと思った。
ろくに、あったこともはなしたこともなかったのに。
ぜんぜんはこわくない。
やさしくて、おかしい。
「…かってに、こわぃってぃって、ごめんさぃ。」
わたしは、むこうが見えちゃぅ、、、小さなへんなのに、あやまった。
そのあと、センターにいかないで、そのまましょくどーで、おじちゃんとへんなのと、たっくさんおしゃべりをした(そのとき、サービスといって、さっきタオルをくれたエプロンのおばちゃんが、こおったみかんをくれた。)。
おにいちゃんをセンターでただ、、、まっているより、おじちゃんたちとおしゃべりしたいなぁと思ったから、、、。
おじちゃんは、わたしがしらないことを、たっくさんしっていた。
おじちゃんのナビも、たっくさんのことをしっていた。
このせかいが、こんなふーになる前のこともいっぱいしっていた。
しらないことを、どーしてなんでって、いっぱいきいて、、、。
そうしたら、おにいちゃんにあいたくなった。
けど、ふしぎなことにさっきまでの、さみしいから、こわいからじゃない。
おじちゃんと、おじちゃんのナビからきいたこと、おにいちゃんのもはなしてあげたい。
そう思ったから。
そうおもっていたら、きゅうにおじちゃんのPETがなった。
おしごと?かな?そう思ってたら、おじちゃんは、よかったねと、いった。
「……ぁ!ぉにぃちゃんですか!!」
「そうだよ。」
『よっかったな!お嬢ちゃん!!』
「うん!!」
わたしは、うれしくてうれしくもうぴょんぴょんと、はねてしまった。
そしたら、、、おじちゃんと、おじちゃんのナビは、わらっていた。
そして、おじちゃんと、また手をつないでおにいちゃんに会いにいった。
「おじちゃん…なびさん…、ぃっぱぃおせわになりました。」
「どういたしまして。」
『どーも。』
ふたりは、おんなじタイミングでどういたしましてと、どーもと、いった。
いきがっぴったりって、こういうこともいうだろうなぁと思った。
「ほんとーに、なかよしなんだ…。」
「仲良し…か…まだその言葉が、こんなおじさんに使えるのかな?」
「…?…ことばって…ねんれーせーげんが、ぁるの…?」
おじちゃんは、うん?と、ちょっと、目を大きくあけけた。
そして、そうだねと、つぶやいた。
「…言葉に年齢制限ないよ…おじさんは…こいつと仲良しだよ…。」
「やっぱり。そうなんだぁ。」
「うん。」
『…何でお前も…そう、恥ずかしいことをさらっと言うかなぁ…。』
「…?どーして?ぉじちゃん、ぃまへんなことぃってなぃよ?」
『いや、そのそういうことじゃないんだけどよぉ…。』
どーいえばいいんだろーなーと、こまったようにおじちゃんのナビは。ばたばたと、うごいていた。そのようすを、おじちゃんは、だいじょうぶか?と、しんけんな目で見ていた。
そのようすはとってもおもしろかった。
「ぁの…。また、ぁぃにきてもぃぃですか?」
「ああ。またおいで。今度は、迷子じゃないときに…ね。」
『そうそう。』
「わ…わかりました…。」
ちょっといたいことをつつかれてしまった、、、。
「…ん…。」
「はは、ごめんね。」
ちょっと、おじちゃんの手をつよくにぎった。
「…ちょっと、おじさんからお願いをしていいかな。」
「はぃ?」
よそーしてなかった、ことばがおじちゃんからでた。
「ぉねがぃってなに?」
『珍しーな、お前からお願いとか。』
「…これから会うナビも、こいつのように仲良くしてくれないかい?」
、、、。
「なかよく?」
「うん。」
へんなおねがいだなーって思った。
でも、ふよふよういているおじちゃんのナビをみて、さっきおじちゃんがいったことも思い出して。おじちゃんがなんで、そーいったか、、、なんとなくわかった。
「ぅん…ぜったぃ、ぜったぃなかよくする…。」
「ありがとう。」
おじちゃんは、やさしくて、とってもうれしそうな顔をして、、、わらった。
そして、おじちゃんのナビも、そんな顔をして、でもこっちははずかしそうな顔だった。
でも、わたしはそれをみて、、、わたしも、おっきくなったらナビがほしいと、すっごく思った。
ふっと、おじちゃんが止まった。
どうしたのかなって、思ったよりはやく、おじちゃんが、わたしとおんなじたかさまでしゃがんで、まえのほうをゆびさした。
「あれ、君のお兄さんじゃないのかい?」
「ぇ!…どこ?どこ!!」
『ほら、あの柱んとこに駅員と一緒にいる坊ちゃんじゃないか?』
おじちゃんと、おじちゃんのナビ、が、いったとおり、、、おじちゃんと青いふくをきた、わかいおとこのひとと、なんだかいろいろしゃべっているのは、、、まちがいなく、、、おにいちゃんだった、、、。
「…ぉ…に…ぃ…ちゃん…。」
「やっぱり…。」
『すげーな。兄妹ってやっぱ、遠目でも似てんだなぁ…。』
おにいちゃんだ、おにいちゃん、、、。
「行きなさい。」
『兄ちゃんきっと心配してたぜ。』
わたしは、思わずなみだがでてきたけど、ぐっと、がまんして、、、。
「ほんとーに…あり…が…と…ぅ…ござ…ぃま…した…。」
「元気でね。」
『あばよ。』
「はぃ!!」
おじいちゃんの、手をゆっくりはなした。
「…またね。ぉじちゃん、なびさん。」
ふたりはゆっくり、うなずいてくれた。
そして、、、おじちゃんはやさしくわたしのせなかをおしてくれた、、、。
、、、わたしは、そのまま、、、ふりかえらずに、、、おにいちゃんのとこにはしった。
「おにぃちゃん!!!」
わたしのこえにおにいちゃんは、こっちをむいた。
そして、、、たっと、おにいちゃんも、わたしのほうにはしってきた。
おにいちゃんは、わたしのなまえをよびながら、顔をぐちゃぐちゃにしてわたしをぎゅっと、した。そしてわたしも、ないた。
おにいちゃんは、手をはなしてごめんねとか、すっごくしんぱいしたとか、、、なんかいっていることがわかったけど、、、よくわかんなくなった。
ああ、、、。
おにいちゃんおにいちゃん。
いっぱいいっぱい、はなしたいことがあるのに、、、。
こえがでない。
でも、いっぱいいっぱい、、、おじちゃんと、おじちゃんのナビのことを、、、おにいちゃんにも、、、はなしてあげよう、、、。