ハプニング、後に。



 『どう…収拾を付けるんだよ…てめェはよ…。』
 「いっやぁ…お遊びで作ってさ、別に悪用しようとか考えたわけじゃねえんだよ。ちょっとさぁ、ダチがさ、見たいっていうから持ってきただけなんだけどさ…あははははは…」


 何処かハイな感じになってしまっている、俺のオペレーター。いや、気持ちは分かるぜ、現実から逃げたいその気持ちは、、、。

 今俺は一応、此奴の学校の電脳空間にいる。まあ、格別変わったこったぁねぇ、此処にかよう生徒達のナビが、生徒達が授業中とか暇ん時、くっちゃべれるように学校側が提供してくれている、使われてねえ教室の電脳空間だ。
 まあ、電脳空間自体は問題ねえよ、問題なのは、、、此奴が作ったウィルスのせいで、大騒ぎになっていることだな、、、ッツ!!


 『てんめぇえぇえええええ!!!!!!!』
 「わー!!マジ!マジ悪いと思ってる!!!反省しています!!!心ん底から!!!!!

 俺のオペレーターはネットバトルの腕は並だが、頭がいい(色んな意味で)。とくに、プログラミングとか、ハッキングとかの腕は技術のセンコーの顔を真っ青にしたほどだ(技術問わず、こいつは此処にいるセンコー共より頭良いが)。
 普段はクラスのダチに頼まれて特製のバトルチップを作ったり(公式戦には勿論使えねえがな、それに金を取ってるのは内緒だ)、スリルを求めてロックがかかってるデーターベースに挑んだり(まあ、大声で言えねえが主にネット警察とかの公機関だな、、、俺は何時逆探知されるか冷や冷やだぜ、、、)。

 まあ、んな無駄話ほっといて。


 『ワタクシの愛するオペレぇえタぁあさぁあん…ワクチンとかぁあ作ってらっしゃいますかぁあぁ…?』
 「家に…ありまっスvV」
 『まぁ…素敵…ッツ!!!』


 あぁあぁああああッツ!!!!コピーロイドがあったら、ヘッドロックの一つでも喰らわせたいッツ!!!(でも、人を傷つけられないようにプログラムされているのが、今は凄まじく、はらだだしい!!)
 家に戻って、此奴のあのごっちゃごっちゃした電脳を探らなきゃいけねえぇえのくぅうぁああ!!!!たまには整理してぇええぇえ!!!!じゃねえと今回みたいに急用の時大変でしょうがぁああぁああ!!


 「マジ、ごめん。えっと…ワクチンを保存したフォルダ多分…多分…」
 『思い出せないのかなぁあ…ッツ?』
 「…はぁあイvVそぉおでっスvV」


 やっぱし、今日帰ったら捻り潰してやろうッツ!!!!どんな手段を使おうとも!!!えぇえええいい!!コピーロイドのプログラム改ざんしてやらぁあぁあああ!!
 ゼッテーにギッタンギッタン(死語)に捻り潰してくれるっつーの!!


 「でも、早く取ってきて…、センコ−に知れたらマジヤバイから…お袋に連絡される…!!」
 『もう、ばれてると思うぞぉおvV』


 俺は、ウィルスに団子にされているナビを差すと同時に、此奴の顔が青ざめていった。
 迷うことなき、こいつのセンコーさんの、御ナビ様で御座いますわ。

 俺予想、こいつの今月のお財布は空となるでしょう。

 おめでとう。ザマーミロ!!!
 何時もテメーの尻ぬぐいさせられている俺の気分味わいやがれ!!


 『質問して良い?』
 「ん?」
 『オレのさぁ、お小遣い…どうなるのかなぁ?…今月…オレ、欲しいゲームがあんだけどさ?』


 俺は、その問いに思いっきり、イイ笑顔を浮かべて返してあげましたよ。


 『ん?今月どころか、未来永劫小遣いなんて無いかもねvV…ッツ!!』
 「うっぎゃぁああぁぁああぁあああああ!!!!!!!」


 絶叫としか言いようのない声を上げて、床に崩れた。

 良かったね、ママさんには俺が、起承転結、ぜーんぶ、明確に伝えてあげるからな!!あの後に、喜んで歓喜の涙で枕を濡らしな!!!(あー、気分がいいvV)。

 って!!


 『ゥおうッツ!!』


 俺の上に、ウィルスが飛んできて、すぐさま回避する(俺は、戦闘能力は高かないが、スピードにゃ自信があるぜ、、、じゃねーと、こいつが日常的にやっているハッキングとかの後始末を終えてからの大脱走には、、、使えないんだよぉ、、、)。


 にゃごがぁあああん。


 ほんっとに、緊張感のない鳴き声を上げて、ガルーを丸くして潰して、猫っぽくしたような意味の分からない形をしたウィルスは(テメーの、オペレーターとはいえ、此奴のセンスは、未だに俺には理解できない)、俺がいた場所に的確に落ちてくる。


 ずぅううううぅうううんっつ。


 とっても怖い、重量感のある音。

 ジョーダンじゃねーぞ、、、。
 こんな、巫山戯きったウィルスにヤてれたまるかくぅわぁああ!!!

 非常に手足の短い、ブルドックか、ダックスフンドを思わせる体は、跳ねるようにまた、俺に飛びかかってくる。


 『ぉぃ…ぉい!おい!おい!おいぃいいぃぃぃぃっつ!!』


 がばぁっと、じゃれつく犬のような仕草だが、、、あんな、アホみたいな質量に飛びかかられたら、命に関わるわぁあぁあぁぁぁ!!!


 『だぁあああぁあ!!テメーどうにかしろぉおぉおおお!!!』
 「無理だッツ!!」
 『……っ……威張って言うなボケェエええ!!!』


 きっぱり、はっきり、いっそのこと潔いともとれるその即答に、一瞬あっけにとられるが、完全に責任を放置しきった台詞に、俺は心ん底から天罰が下れとカミサマに祈った。


 がおぉおんっっつ。
 ごぉおおおっ。
 がぎゃぁあんっつ。


 その時、やられっぱなしだったナビ側の、バトル自慢の連中が、バスターやら、キャノンやら、やら、付属の武器を使用して(このウィルスたちに接近戦は無理だと悟ったらしく、ソード系にやつはいねぇ)、クソ巫山戯たウィルスに向かっていく。

 ありがとう諸君!頑張ってくれ!!(俺は、あいにく戦闘系ナビじゃないの!!サポート系の事務的なお仕事しかできない一応インテリ系なの!!付属の武器在るけど、この状態じゃあ、全く役に立たないぜ!!)


 だか、頑張っている諸君達の奮闘はほんの僅かの間に見事に強制的に、ストップさせられた。


 ぼっっよぉぉぉん。


 可愛い効果音ととも、その丸いからだに当たった弾は、全弾、弾かれた。
 あれだ、ゴムにぶつかったみてぇなかんじだ。


 奮闘していた連中は、一気に先ほどの状況に逆戻り、ウィルスに団子。

 俺は、思わず潰れていった諸君の勇姿に、(出ねぇが)、目頭を押さえる。


 「役に立たねぇえなっつ!!おい!!」
 『原因を作った野郎が、何ヌかすっつ!!!』


 あまりにも、身勝手すぎるぞ!!!テメーはよぉおっつ!!!


 「でも、さすがはオレが作ったウィルスだ…。そんじょそこらのナビじゃ、かないもしないな…。」
 『なに、悦に浸ってんだよっつ!!アホぉおおおお!!!』


 自分の才能に酔うな!!!その才能をもっと別の面で役立てろよ!!


 だが、ナビ達に悪戦苦闘に理由は、ウィルスの性能云々だけじゃねぇ、バトルチップを使用しようにも、此処は仮にも学校の電脳。インターネットシティのようにセキュリティがかかっていて、転送できねぇんだ。

 その、セキュリティを解除できるのは、一応センコー共だが、ウィルスに邪魔されて解除できないらしい(センコーのナビ共の、大半はウィルスに団子にされていて、残った少数のナビ達じゃあ、防ぐのに精一杯らしい)。


 因みに俺はいまんとこ無事だが、セキュリティルームまでのウィルスだらけの回路と、同じくウィルスだらけのセキュリティルームの電脳に入る気は一切無い。


 『あぁあああっつ!!くそったれぇえええぇえ!!オイ!テメーなら、解除できんだろう!!ぼさって突っ立ってねーでセンコーを手伝えよ!!』


 現実にウィルスは居ないだろ!!!


 「さっきやろーとしたら!!セキュリティルームに入れてもらえなかったんだよ!!!」


 あー、なるほどなぁ、、、。
 センコー共は、一生懸命でガキは邪魔だと叩き出したんだろうなぁ、、、。
 あと、こいつにだけは頼りたくないに決まってる。

 と、一瞬納得の思考に入って(現実逃避とも言えるな)、隙が出来たのか、ウィルスのに一匹が俺に飛びかかってきた


 『こん…っつ!チクショウっつ!!』


 やべっと、思ったが、ウィルスは実に楽しそうな笑みを浮かべて、俺に飛びかかってくる(ふつーウィルスって無表情な種類だろうが!!なんっで!表情プログラムまでご丁寧につけてんだよ!!今の状況でみると、異常なまでにムカつくわぁあああッツ!!)。


 そして、俺は潰されて、ずしっと、重量感を感じたのは一瞬だった。


 ばぎゅぅんっつ。


 『へっ?』


 ウィルスが、思いっきりひしゃげて、ぶっ飛ばされた。
 そして、しゅたっと、青いナビが、ウィルスがぶっ飛ばされた方向で、ずっぅううぅうんと、落ちるのとほぼ同時に俺のほぼ真横に、降り立つ。 


 『大丈夫ですか?』
 『あ、う、おう…。』


 伸ばされた細い手に捕まって、俺は立ち上がる。


 『アンタは…?』
 『ネットセイバーの、ナビです。ウィルスが暴れているという通報をうけて駆けつけてきました。』


 見たことねぇナビだったが、なるほど。常識的な誰かが通報してくれたらしい。ありがてぇことだ。
 だが、俺の眼前にいるナビは、到底戦えるか怪しいほど、華奢な少年型ナビだった。

 今、ウィルスを蹴飛ばすシーンを見なかったら、ゼッテー信じなかったぜ。


 『一体何があったんですか!』
 『…色々あって…。』


 ふ、、、。御上のナビに正直に言えません。下手すれば俺がソッコーで逮捕だろっぉおおぉおッ!!
 冗談じゃねぇよ!洒落にならねぇっつーの!!!

 俺は、平凡な一般的な、ナビ!!
 前科一犯なんか不名誉すぎで欲しかねーっつーの!!!!!!(一応犯罪は犯してるけど!!社会的にばれるか否かで随分違うの!!!)


 『大変でしたね。さ、避難を。』
 『…お、おう…。』


 ははは、、、、。

 すんげぇ、、、罪悪感、、、。

 こりゃ素直に心配してくれている顔だわ、マジで、汚れきった考えの俺には直視、、、デキマセン、、、。


 『セキュリティールームは何処ですか?』
 『あ、えっと…。』

 「ごむえんぬぁさぁあぁああああいぃいぃいい!!!!!!!!!」


 、、、、阿呆だ、、、、ここに、、、この瞬間で世界一の阿呆が光臨した、、、、。

 なーにを、トチ狂ったかしらんが、盛大なる謝罪をしやがった。
 自分が犯人だと自白するのはイイが、、、。


 「わ!わわわわ!!悪気はなかったんです!!すんっつげぇええ反省します!二度とこんな事しませんとも!!!ウィルスなんて金輪際お作りしません!!!ぁああ!!もう悪戯半分でスリルなんて求めて!!!オフィシャルの機関のコンピューターにハッキングしかけたりしません!!!後!此奴も共犯ですので!!!!はい!ゆるしてください!!!」


 あ、ああ、、俺まで、、、、巻き、、、こみやがった、、、。


 『どういう…こと…ですか?』
 『…………。』


 ジト目で、俺を見る御上のナビ、、、、。

 うん、駄目だ。
 賢いぞ、俺。
 此処で何言い訳しても、絶対通じないぞ、ゼッタイシンジテクレナイナ、、、、、。

 あああ、近々俺は、ナビ刑務所で、、、刑務ライフだぜvV、、、刑務所ってどんなところだろうか、、、俺のウラに関わりのあるダチは、何度か入ってるらしいが、イイトコじゃねえっていってたねぇ、、、当然だよなぁ、、、ま、デリートよりマシだよねv
V。


 俺は、今まで馬鹿なオペレーターのせいとはいえ、犯してきた罪を刑期に換算してみる、、、。


 、、、、、、はははは!!!笑うしかねぇえええぇえええ!!!!!


 そのとき、突然の強敵出現に様子見をしていたウィルス達が、再び襲いかかってきた。


 『ぃひゃぁぁあ…っ!!』

 「バトルチップ!!『ストーンキューブ』!!スロットイン!!」
 『ストーンキューブ!!』


 そのタイミングを見抜いたように聞き慣れねぇ、声とともに、少年型のナビはストーンキューブをぶち放つ。

 そのゴム質の体が今度は仇となり、盛大にぶつかり、ばよぉおんと、実に間抜けた音と共に跳ね返った。


 ん?
 何で、此処でバトルチップが使えンだよっつ!?
 セキュリティブロックの妨害はどうなってんだよ!!!


 俺のその考えを見透かしたように、少年型のナビは。


 「僕らネットセイバーの権限みたいなものだよ。そういった制限は、僕らには訊かないんだ。」


 、、、いいねぇ、、、それが噂に聞く特権だな、、、原理は、なんだ?専用のパスか何かが支給されてんのか?んにゃ、解除プログラムが直接体内プログラムにも書き込められてんのか。
うっわ、マジ不謹慎だけどそのプログラムマジで欲しい。悪用される恐れがあるとかで、そのプログラム、ナマで見たことねえんだよなぁ、、、畜生!!俺なら一分、いや、数十秒でもありゃ!!あっと言う間にスキャンできるのにぃいいぃいい!!

 あ、いかん、いかん。一種職業病だなこりゃ、、、。

 つーこたぁ、さっきのガキの声は此奴のオペレーターか。なるほどな。

 上を見ると、俺のと少年型ナビとの二つのウィンドウが展開されていて、一つは勿論俺のPETのヤツだから、俺のオペレーターが映ってる。もう一つは元気が売りって感じの俺のオペレーターと同じぐれぇの年頃のガキ、、、、っておい!?まじかよ!!

 ネットセイバーつーのは年齢制限随分低いな!!おい!! 

 いやいや!いくら何でも低すぎるな!!あれだ!特例ってやつだな!!


 『ロックバスタ…!!』
 『ストップ!其奴らにはキャノンやら、バスターはきかねえ!!撃つな!!跳ね返されるだけだ!!』


 さっきの二の前を踏ませねぇ為に、バスターを放とうとする少年型ナビに俺は忠告する。
 すぐに、バスターに変換していた腕を戻す。


 「ガン系列の攻撃は効かないってことかよ!!」
 「ああ、今は自分の才能を恨むぜ!!完璧すぎるぜ!!オレ製作ウィルス!!」

 『『「なにいってんですか!!この状況で!!」』』


 こんな状況でも、自分の才能に悦に入る此奴は、どういう思考してるんだっつーの!!!


 「ん?てことは…、君がこのウィルス達を作ったの!!」
 「ん、おう…。」


 気まずそうに、返す。
 だよなぁ、ネットセイバーなんて、初めて見るどころか、しかも、ジブンとタメだもんな。


 「弱点とか無いのかよ!!」
 「ぇええ!?参ったなぁ…、接近戦にはとことん向かないように設計して、だからといって、遠距離系の、ガン系の攻撃を受けたらおしまいだから、ガン系の攻撃を効かないようにして…。」


 あああ!!!!我がオペレーターながらなんて厄介なもんつくってんだよ!!!
 けど、、、けど、、、どうすれば、、、どうすれば、、、。

 俺は、普段此奴のフォローに殆ど使われる頭をフル回転させる。


 『試していない攻撃とかないの?!』
 『試してねぇ攻撃だぁあ?んなもん接近戦、ソード系の攻撃か、バトルチップの攻撃だよ!!セキュリティのクソッタレのせいでバトルチップが使えねえんだよ!!』
 「こんな状況でも、セキュリティが解除されないの!!」
 『違う!違う!!ウィルス共のせいでセンコー達もセキュリティ解除できねえんだよぉおおお!!!じゃなかったら!!みんなこんな風になってねえよ!!考えれば分かるだろうがっつ!!』


 イライラの最高潮で、俺は、相手が御上のなんてもう思考になかった。


 「オレならウィルス共なんて関係なくセキュリティ解除できるんだけど…」
 「それ、本当か!!」
 「ああ、誰がこのウィルス共を作ったと思ってんだ!!戦闘の対処法はわからんが、行動パターンはオレがプログラミング…オレが!考えたんだぜ!!なのに、セキュリティルームに入れてくれないんだ!!」

 『日頃の行いが悪いからだ。信用されてねぇんだよ!!』

 「〜っつ!!悪いことはしてねえ!!」
 『テメェの頭脳を自慢して!!センコーを小馬鹿しきってきたからだろうが!!んな可愛くねぇガキを信用する大人が何処に居るんだよ!!いっつもいっつも!!俺が!俺が忠告してきただろうが!!けどてめえは耳すらかそうとしなかった!!俺の言うこと少しだってきいたことねえだろうが!!!』
 「う…!」
 『それ!みろ!!罰が当たったんだよ!!!因果応報ザマーミロ!!!』

 「そんなこといいから!!解除できるって本当なら!!…来て!!」
 「わっつ!?」


 元気そうなガキは、オレのオペレータの腕をひっ掴むと、ずるずると、セキュリティルームまで連れて行った。

 んな思いやがった馬鹿だが実力はホンモンだからな!!そっちは、任せたぜ!!


 『…君も大変そうだね…。』
 『ドーモ。』


 そんな眼で見るなよ、空しいだろうが、、、。


 『取り合えず、二人が何とかしてくれるまで僕らで時間を稼ごう。』
 『え、マジ?俺は超インテリ派なんですけど。マジ戦闘苦手なんですけど。』
 『安心して。僕がサポートするよ。』
 『…あ、いや…そういう問題じゃなくてね』


 俺は、元からデータの処理とかそういった事務仕事に特化するように作られているナビだ、本当に、此はマジな話、俺は、からっきし。そういう風にプログラミングすらされていない。
 幾ばくか在った基礎的なもんすら、逃亡用にスピードに当てられている。

 つーまーりー、俺は、そんじょそこらの女性型、幼女型ナビにすら勝てんと断言できるほど弱いって事(俺が自分でやったんじゃねえぞ。俺のオペレーターがかってに俺の構成データを書き換えたんだ)。

 そのわりには、威勢ばっりあって、口が悪いとかいう突っ込みはなしだぜ?

 しかたねえだろ、いかにもナヨナヨしてたら、なめられんだよ。


 んなこと今はどーだっていいわ、、、はあ、、、どうしようか、、、。

 ウィルス共は、少年型ナビに警戒して一塊りに集まり、じっとこっちを見ている。

 団子にされていた連中は、ぎりぎりまでヒットポイントを減らされて気絶している。よかったぜ、一応デリートされているヤツは居ないな。


 『えっと、思いっきり今狙われてるのは僕…だよね。』
 『おうとも。』
 『君も、バスター?』
 『んにゃ、この状態じゃあなんの役にも立ちません、俺の付属の武器は、剣属性…。ロングソードです。』


 俺は手を一振りすると、これみようがしに、手をロングソードに変えてみせる。
 少年型ナビは困ったように、その可愛い顔を顰める。
 すいませんね、役に立てなくて。

 一体、あのゴム玉犬には何が効くんだよ、、、!!!
 ワクチンは、彼奴の電脳のどっかにしまってあるらしいが今から戻って捜してたら、いくら俺でも、どれだけかかるのやら、、、、。
 見当もつかん。

 俺は、深々とため息をついて、少年型ナビの後ろに下がる。


 『ゴメンナサイ。ガンバッテクダサイ、ボクハココデマッテイマス。』
 『そんな弱気じゃだめだよ!頑張って!!』
 『ムリダヨー。ボクニシネトイウコトデスカー?』


 マジ無理。
 逮捕された方が、生存確率ゼッテーに高い。

 死にたくないんですよ、本当に。


 ぼりぼりと、俺は頭を掻きむしる(勿論、ロングソードじゃない手でな。)。

 そのタイミングに合わせたように、ウィルス達が向かってきた。


 『くっ
!』
 『ぎゃぁああっつ!?』


 潰されることが怖くて、俺は向かう少年型ナビとは対照的に頭を抱えてその場に埋まり込んだ。


 『たぁあああっ!!』


 バスターを展開することなく、その小さな体でぶつかっていった。
 軽い体では大したダメージにゃなりはしないが、一見すればあっさりとへし折れそうな体に隠していたバネでスピードを付け、そのスピードでいくらか蹴りに重さを付けた。

 やっぱり、硬ぇゴムを蹴るみてえにゴム玉犬は吹っ飛んだ。

 いや、ゴム質だからこそ吹っ飛びやすいのか。つーことは、あれだ。このウィルスは、、、物理的な、直接的攻撃の方が有効って事か。

 はははっ、あの少年型ナビ君、それを俺を助けてくれたときの蹴り一発で察したってことか、、、。
 すんげーや、こいつ。どうゆう感してるんだよ。

 天才的つーことだな、こいつをプログラミングした研究者はどんな脳味噌してんだよ!!俺なんか、俺なんて、、、、う、羨ましくなんてないぞ!!!全然!!羨ましくなんて、、、あああぁああああ!!!


 『大丈夫ですよ。このウィルス達、戦闘能力自体はほとんど無い。ただその重さを利用したのしかかりがいいとこです。いや、それしかできないと言っていってもいい。これは、、、未完成、、、?』
 『!?』


 考えてみれば、、、さすがに非常識すぎるあいつだって、学校に、、、この少年型ナビの言う通り未完成品でもなきゃ、こんな物騒なウィルス持ち込むはずねえ、、、(未完成だからつって大丈夫だと思ってたんだろうなぁ、、、あいつ、、、自分の才能、、、いっつも自慢しているくせによ、、、今、無駄にお前の才能が生きてるぜ、、、、)でも、、、未完成品だつっても、こんな物騒で無駄に強いヤツ、、、ツクルナヨ、、、、ん?このウィルスもし完成品だったら、、、ああ、、、考えるのも恐ろしすぎるぜ、、、。


 『取り合えず、殴るか蹴るか。そんな単純な攻撃さえしてくれれば良いんです。』
 『え、、、。』


 一番、それが無理ですって。

 試しに、俺は浮いていた
何かのプログラムの塊を撲ってみる。こんな塊はだいたいどんな電脳にもある、ものすっごくもろいやつだ。


 みしっつ、、、。


 嫌な音を立てたのは、、もっちろん。俺の拳だった、、、。
 い、、、いたい、、、、。

 これ、普通ね、、、大量生産のノーマルナビが殴っても、、、壊れるぐらい何だけどよ、、、。
 それにすら敵わない力の俺ってどうだよ、、、、。


 『………。』
 『分かってくれましたか?』
 『…とりあえず…安全なところに隠れていてください…。』


 足手まといという言葉を使わなかったのは、多分こいつなりの優しさだろう。
 その優しさ、、、痛い、、、。

 けど、その痛い優しさに俺は甘えさせて頂くことにした(プライドがないとか言うなよ!ただ、ただ、、、こ、怖いだけだぁあああああぁああああ!!!)。

 俺のかわりに、存分に頑張って、頑張ってくれ、少年型ナビ君。
 何度も言うが、俺は死にたくないんでね。

 俺の、卑怯な期待(、、、そのぐらいは自覚あんだよ、、、)通り、少年型ナビ君はその小さな体、跳躍力、スピードを生かして、ハエみたいに群がってくるウィルスを有無を言わさず蹴り飛ばす。

 こりゃいい。


 『ぅわあああぁああ!!!』


 しかし、俺のせこい作戦は、しばらく立つと、崩れ去った。

 当たり前、、、だよなぁ、、、。
 てめぇの、後ろでがたぶると、なっさけなく震える俺を庇いながら、てめぇだけで戦ってりゃ、疲れて隙の一つや、二つできるわな。

 で、吹っ飛ばされた。


 『ぎゃーーーーーーーー!!!!!!』


 庇ってくれるヤツが居なくて、ガードなしとなった俺。
 潰されるいう恐怖に、俺は、今まで庇ってくれたヤツの心配などせず、阿呆みたいな悲鳴を上げた。

 で、やはし、向かってきました、ウィルス様ご一行!!

 恐怖で、がちっと、固まる。

 だが、その恐怖は無駄となる。ウィルス達は俺なんぞ歯牙にもかけず、一直線に少年型ナビに向かっていった。


 『はい?』


 拍子抜けする俺。

 あっ〜、なるほど。ご一行様は少年型ナビにのほうに怒り心頭で、今のターゲットはアイツのみってことか、こりゃラッキーだったぜ!!!


 『この!ぅ!…くぅ!…!!…はっ!…っつ…!!



 少年型ナビは、ウィルスに集中攻撃されている。だが、地べたを転がるように体を動かし、潰されることは避けている。
 けど、いつまで持つか怪しいもんだぜ。


 ま、俺は助けねぇぞ。
 はっ!明らかに助けらんねーだろ?どこに、自分から地雷注意みたいな危険なトコに飛び込むかよ!!
 ワリィな、、、。
 助けてくれたことは感謝するがそれとこれとは別だ。


 少年型ナビの尊い犠牲は、無駄にしねえよ。
 逃げさせて頂くぜ、逃げ足だけには自信があってな。俺は、他人を助けましょう!て、優しい心はおもちじゃないんですよ。

 俺は、ぐっと足に力を込めてその場から全力で逃げようとするが、、、。


 『ぁあああああああああっ!!!』


 聞くだけで、ぎくりとするような絶叫が上がる。
 おかげで、足の力が抜ける。

 くっそぉ…!!!

 今は全力疾走で逃げるのが賢いヤツだろ!!
 アイツが、此処でデリートされようがいいじゃねか!!!

 あぁあーー!!こんちくしょおぉおお!!
 後味悪くなるような声上げるなよ!!くそが!!


 俺は足に力を入れ直す、そして、、、。


 『くぅっ!!ぁああぁあああ!!どうとでも!!!なれぇえええ!!!!!!』


 だんと、さっきの少年型ナビがやったみてぇに、スピードで重さを付けて蹴り込んだ。
 力のねえ俺でも、重さを付ければいくらかのダメージを与えることが出来る。

 やっぱり、硬いゴム質のような感触を足が感じる。


 にゃごがぁあああぁああああああぁあ。


 実に、可愛らしいが、今の俺にとっては最高に耳障りな鳴き声を上げて一体がぶっ飛んだ。


 い、、、いってぇええええぇええっつ!!!!!!!


 硬いゴム質の感触の後、足の裏から脳天まで硬いなにかに穿たれる錯覚に陥るような、激痛が走る。
 あれだ、なんつーか、あれ。
 あ、あー。そ、そうだ、あれ!!
 人間が、高いところから、格好良く降りようとして、足がじぃんとするようなあれ。あれに近い。
 

 『君…。』
 『ぁああぁあああああぁあ!!!いてぇぇえ!!いってぇええぇえええええ!!!!!』

 
 めちゃくそ、いてぇよぉ、、、。

 なにやってんだよ、俺。こんな痛い眼にあった上にカッコ悪!!超カッコ悪っつ!!
 足抱えて、凄まじく情けなく痛みに悶絶する俺。

 ほんっと、馬鹿だな。俺。

 要領が悪すぎ。本当に要領のいいヤツって言うのは、後味の悪さなんて気にせず格好良く立ち去るもんだろうがよ、、、。


 『だ、大丈夫ですか!!』
 『此…見て…、大丈夫って…言えるのなら俺は…、テメェの視覚プログラムの異常をまず疑うね…。』


 びくびくと、痛みで痙攣する俺の肩を優しく掴んで(ウィルスを蹴り飛ばしただけで此処までなる俺って一体、、、、)、上半身を起こしてくれる。
 優しいねぇ、、、さっき見捨てようとした俺の心の内なんぞ知らないんだろうね。


 『逃げようとすれば、逃げれたんですよ?』
 『………。』


 逃げようとしましたよん。
 後味が悪いとは口が裂けても言えません。

 ウィルス達は、突然の俺の乱入に混乱して、また、一塊りに纏まりだした。

 やばいなぁ、、、俺もターゲットになったよ、、、。
 にしても、スピードで重さを付けたとはいえ俺の力でよくぶっ飛んだなぁ、、、。
 ほんと直接的な物理攻撃には弱いんだなぁ、、、ガン系列は全然平気なくせに、、、あ、ゴム質だからか、、、。

 で、こんな阿呆な特攻は、ウィルス君達のお優しいお心を大変傷つけたようで。


 にゃごがぁあああぁあああぁあああっつ。


 襲いかかってきました!!!
 い、ぃいいやぁあああぁあああああぁぁぁ!!!!

 お、女みてーとか思うなよ!!人間、ナビ問わず、いざとなったら意味のわからん声を上げるの!!!女だっていざとなったら男顔負けの声上げるぜ!!!!嘘だと思うならこんな状況に直面しやがれぇぇえええ!!!


 『あ、危なっ…!!』
 『ぅっ!きゃぁあああぁあぁぁああああああああぁぁぁ!!!!』


 俺は、多分反射的に手をロングソードへと変換してそのまま、払いのける要領で、、、。


 『こ、こないでくれぇええええええぇえぇええぇえええぇぇぇぇ!!!!!』


 その腕を振った。


 ずばんっ。ず、ずずずんっつ。


 『はひ?』


 硬い気持ちのいい手応えと共に、かなりに質量が落ちる音が俺の後ろで聞こえた。
 油の利かなくなった人形みたいに、ぎぎぎっと、後ろを向く。

 面白いぐれぇに真っ二つになった、クソ巫山戯たウィルスが居た。

 その真っ二つになったまま、動いているのを見て、俺はぼんやりと、、、気色わる、、、と、事態が突然すぎるせいか、状況判断の出来なくなった思考でそんな事を思う。
 動いていたのはほんの数秒で、後は、データのクズになって、元から居なかったように消えた。


 『どう、、、なってんだよ、、、まじでよぉ、、、。』


 俺は、唯、、、腕を振っただけだぜ?


 『す、すごい!!』


 うんすごい。どうなってんの?別に俺の装備は特別強化なんぞしてねぇぞ?

 そこまで考えると、ここ一時間。恐怖やら逃走やらに使われていた俺の脳味噌があることにひらめく。


 『は、は〜…。さっき、アンタが言った通り、アレは未完成だな…。』
 『え。』

 『俺達はちょっとばかし考えすぎたんだよ。いくらおつむの出来が良くても、作ったのはガキだぜ?発想を変えるべきだったんだ。本当にあのゴム玉犬は、ゴムだったんだよ。アイツは言うならば正直バカだ。本当にアイツは《ゴムのような素材のウィルスを作ろう》と考えた、そのまま考えを変えず作ったんだ。アイツは妙に凝り性でなぁ…、この電脳空間でそっくりそのままゴムを再現しようとしたんだよ。たく、無駄に張り切りやがって…。』

 『だから…。』

 『ああ、ある程度の技術を持ってすりゃあ、現実のもんを電脳にトレースすることは難しいことでも何でもない。バトルチップ然りってな。ぶっちゃけ、《ガンとか跳ね返したら格好いいじゃん》てきな感じだったんだ。で、弾力のあるもの=ゴム。っは!まさにガキの発想そのまんまだぜ。現実のゴムが本当にガンを吹っ飛ばせるわけねえからいくらかは表面をアイツのさっきの言葉通り、ガン系列に強くしたんだろうな。』

 『けど、基本はゴムのまま…、だから斬撃に弱いんだね。ちょっとした落とし穴だね。優秀なプログラムほど、弱点は意外なところにあるんだ…。』


 近づけねぇと思ったから、ソード系の攻撃は誰もしなかった、だが、それが弱点ってか、、、。
 うん。その言葉、しっかり記憶しておくぜ。

 ん?でも、、、対処法が分かったとはいえ、、、この少年型ナビはバトルチップでもこねぇ限り、、、ソード系列になれねえ、、、、つまり、、、、戦うのは、、、、、、、俺っつ!?


 『よし…そうと分かったら…。って!何処行くんですか!?』
 『いやぁあああぁあああ!!!お離しくださぁああいいいい!!俺ぁ戦いませんからね!!絶対にぃいいい!!!』
 『…別に戦えなんて一言もいってませんよ…。』
 『ホント?』
 『ええ。いくら君に可能性があったとしても、民間のナビである貴女を巻き込むわけにはいきません。』
 『おお!!なんとお優しい!!まさに公僕の鏡…』
 『唯、この事情は後々、しっかり取り調べられることを覚悟してください。』
 『………。』


 全言撤回。


 『でも、どうやって…。』
 『戦うのかと?心配はいりませんよ?ほら。』


 少年型ナビに促されるまま、ウィルス共を見ると、端っこに固まってブルっていた。そして、明らかにその怯えた視線は俺の腕に、ロングソードに集中していた。


 『ひゃはははっ!!!ぅわ!あいつらびびってやんの!!ダッセー!!!何俺にびびってんのか?ほーれほれ!!』


 俺は、腕をブンブンと振る。
 ウィルス共はその動きにすらあきらさまな恐怖を見せていた。


 『自分たちに敵はない、そんな有頂天な気分でいたんでしょうね。けど、君の意外すぎる攻撃に、どうしていいかわからくなったんでしょう。』


 絶好調から一気にどん底にたたき落とされたってとこだな。こりゃいい。


 その時、まあ、はかったよーに、セキュリティが解除された。


 「お待たせ!」


 俺達のちょうどやや斜め上当たりにウィンドウが展開され、まずは少年型ナビのオペレーターが映る。
 そして、その画面に割り込むよーに俺のオペレーターが映る(恥ずかしいし、みっともねぇ、、、)。

 「セキュリティ解除したやったぜ!!有り難く感謝しろ!!」


 「『『いい加減に反省しなさい!!!!』』」


 懲りてねええ!!!!!こ!この、、、、バカ!!!反省というのしらんのか!!!!
 あああああ!!!!!マジはずい!!恥ずぎる!!!!
 今すぐこいつのナビ辞めたぁああいいいいい!!!!!!!!
 カミサマ!ホケサマ!!!今この瞬間こいつに大いなる制裁を加えてください!!!!

 いや、此処にこいつのママさんを召還して下れれば!!!!


 俺が、馬鹿なことを心から祈っていると、少年型ナビの腕が、ソードに変わった。



 あとは、なんつーか、、、凄かった、、、。
 あれが、まさに流れるよーな動きって言うんだな。

 ウィルス共が散らばることも出来ないようなスピードでデリートしていく、華奢な体でよくもまぁと、感心する。

 極めつけはすげえぞ、プロクラムアドバンス、、、でまとめて、、、、。

 あ〜、、、マジ凄かった。そうとしかいえねぇぐらいすごかった。
 特例で、あんな低年齢でネットセイバーになった理由がよく、分かりすぎるほど分かった。

 天賦の才だ。まさしく。

 俺のオペレーターが、『造る』天才なら。彼奴らは『戦う』天才だ。


 ガキでアレなら、でかくなったらどうなるんだろうなホント、、、。



 で、まあ、その後も色々大変で、、、。

 主に、ネット警察、科学省から、倒れたナビのために救護班が、ぶっ壊されたプログラム修復のために修復班が、デリートされたウィルス共のデータクズの回収兼解析に科学班が、、、。
 てんやわんやの、大騒ぎ。

 そんななか、俺達は、やっぱり、ネット警察連れて行かれた当然だがな。

 俺は、ナビ刑務所はどんなところかと、考えていたが、俺のオペレーターはネット警察に呼ばれた事をかえって面白がっていた(どういう思考回路してるんだっつーの!!!)。

 だが、ママさんを呼んだと訊いたときのアイツは、傑作中の傑作だった。


 ぶはははははは!!ひぃーーー!!あぁああはははは!!!ひゃはははははっつ!!!


 いんやぁ、、、アレは俺がこれから生きていく(稼働していく?)なかで、これから先見られるか見られないかぐらいの素晴らしい見物だった。
 俺が人間だったら、間違いなく息が出来なくて笑い死んでたね、此は、断言できるぜ。

 最後の最後ってヤツに、電子仕掛けのカミサマが、サービスしてくれたのかねぇ、、、、。



 俺は、PETの中で、ゆっくりと、体を寝かせる。
 電脳の床は冷たくも、暑くもない。此は電脳空間に置いて何処も同じだ。
 多分、豚箱も電脳空間でることに間違いはないから、そこもこんな感じだろう。

 ただ、彼処は人間の刑務所と違って、全てのナビは、独房とも言える専用のPETに入れられる。

 外界との接触とは、完全にたたれるから。本当に独りなのだ。

 人間の刑務所に、囚人同士の接触すらない。刑務所の職員なんて必要ねぇからな。飯もくわねぇ、便所もいかねぇ、逃亡もできねぇ、ただ閉じこめるだけで、ただ場所を食うだけ、いいこれほど楽な刑務所はないだろう。

 俺の刑期は、なぁに、、、罪自体は軽いが、質より量だ、、、、はぁあ、、、、。
 どう考えたって、フツーの俺のオペレーターがおっさんになる刑期だ。こいつのガキだ、大した罪は課せられない。俺が居なくたって別に良いだろう、また新しいナビを買えばいい。
 刑務所でたらホント、どーするかね〜、、、、。

 俺は、のんきに小遣いが、なんだと喚いているオペレーターに、口ん中で別れを言った。










 『「ネットセーバー!?」』
 「ええ、是非貴方たちを。どうかしら?」


 珍しくアイツの、豆鉄砲を顔面にクリーンヒットしたような顔が見られたのは、やはし、いいが、それ以上に俺らを驚かせたのは、警視サンと名乗る淡い色のスーツを着こなす女の話だった。

 なんと、こいつをネットセーバーに勧誘したのだ!!!


 マジデスカッツ!!!


 「貴方の、造ったウィルスの残骸から解析したデータだけでも目を見張るものがあったわ、PETのデータファイルも。本当に小学生が造ったなんて正直信じられないぐらい。」
 「いやぁ…それほどでも、あるかな?」
 『少しは、謙虚なフリして見せろよ…。嘘で良いから…。かわいげねえ…。』
 「ふふ、貴方のことは一通り調べさせて貰ったわ。随分と頭がいいみたいね。」
 「そりゃもうトーゼントゼーン。そんじょそこらにいる、大学出たぐらいで、薄っぺらい知識をひけらかしていい気になってる馬鹿なオトナとは違ってね。」


 けらけらと、声を立てて笑うバカ。
 隠しもしない生意気さに、警視サンがキレやしねぇかオレは冷や冷やだ、だが、オレの予想に反して、女は眉すら動かさず平然と見据えている。


 『すいません、うちの…ほんっとにバカで…。』
 「ばかってなんだよ。」
 『そんまんま、すいませんねぇ。話の途中に。バカは、ほっといて話の続きを。』


 取り合えず、クソ生意気な言葉しか出てこねぇこいつの尻ぬぐいをするのも、俺の仕事だ。


 「最近導入されたとはいえ、ニホンでも飛び級制度があるわ。貴方はそれを幾度と無く断っているのは、どうして?」


 まあ、なんかのニュースで、金持ちの嬢ちゃんが、二学年だったか、三学年だったか、飛び級していたようなことを訊いたような〜。


 「オトナが決めたことにどーして従わなくちゃいけねぇーんだ?んな、ほいほい従ってられっかよ。センコーっていうオトナは、よっぽど自分たちよりオレが頭がいいって言うのが気にくわねえらしくてな。どーしてもオレに出ていって貰いたいって感じだったからさぁ、逆に居座ってやろうと思ったんだよ。ああ、なんだっけ?オレの頭の良さを見ていると他の生徒のやる気が削がれるうえに、授業態度に問題がありますだったっけ!?あはははは!!!」
 「………。」
 『すいませんね、ホント、天の邪鬼で。』
 「反骨精神って言ってくれないかな?」
 『んな、立派なもんじゃねーだろ。でも、こんなヤツをネットセイバーに任命?にしても、歳がって…ああ、さっきのバンダナボーズ!!!』


 ナルホド、前例があるから意外とスムーズにこいつにも話が回ってきた訳か、、、、。


 「どうかしら?」
 『は、はぁ…、の、能力に関しちゃ一級品だけどよぉ…。』
 「え?」
 『あの、性格の方…っつーか、精神的には完全なるガキなんですがねぇ…。』


 オレは、ちらりと、腹減ってきたーとかぬかしながら、出されたオレンジジュースを啜る阿呆を見る。


 『いいんですかい?』
 「年齢、性格云々も確かに大事だけれど、それ以上に本人に能力をかってあげるべきよ。子供だからとか性格が悪いとかで、本人の能力を殺すのは良くないわ。それに…。」
 『ぁぃい?』
 「仕事上、もっと性格の悪い人なんて腐るほど見てきたわ。」
 『まあ、すてきな…。』


 よかった。コイツじゃないけど、歳を食っただけの阿呆じゃなくて、この警視サンはホンモンのオトナだ。


 「無駄話は此処までとして置いて。引き受けてくれるか、くれないか、答えは一つどうする?」
 「ん〜…オレへメリットは?」
 「特殊データの閲覧の一部許可、公機関の使用許可、もし、貴方が何か研究などに携わるならば資金の援助も、そのほかにも多々ね。」
 「悪くないね〜。」


 生返事と共にがりっと、ジュースの溶けかかった氷をかみ砕く。
 まだ、渋っている。

 こいつにとっての、チェックメイトは今の女の言葉にはなかったらしい。

 俺は、正直こいつに、ネットセイバーになって貰いたい。
 俺にとっても、こいつにとっても、、、色々と都合が良さそうだ、、、。


 「何が望みなのかしら?」
 『警視サン、警視サン。相手は子供ですぜ。だよなぁ?ママさんにお財布を握られているぐらいの…。』
 「うっせー!!!バカナビ!!!」
 『バカにバカって言われたくねーよ!!!』


 フォログラムであることを忘れて俺を叩こうとするが、当然当たりなんかせずその手は空しく宙を叩く。
 かっこわり〜。
 こいつバカだなぁ〜、いい加減分かれよ、もう一度や二度じゃねーだろ。

 そんな、俺達の会話に何かひらめいたらしい。


 「今回の件、帳消しにするって言うのはどうかしら?」


 それが、見事にチェックメイトだった。


 「それ、マジかよ!おばさん!!」
 「ええ。貴方のお母様には適当に説明しておくわ。学校側にも一応箝口令を出しておくわ。」
 「ぃっえい!!権力サイコーっつ!!!」
 『不謹慎極まりない発言ダナ。』
 「いいぜ!!おばさん。ネットセイバーとやらになってやるよ!!」
 「決定ね。」


 やっほーとか、言ってソファーの上でばたばたと喜ぶ。ほんっとガキだな、いや、同世代のガキと比べると更に幼い気がする。
 頭のイイやつって変人が多いってホントだぜ?
 具体例が此処にいるからね。頭のいいやつって、正常をしめる脳のスペースが犠牲になっているとしか、俺にはおもえん。


 「あの…。」


 その時、入りずらそうに、いかにも事務仕事やってますという感じの男が入ってくる。


 「どうぞ、入って良いわよ。」
 「警視。少年の母親が到着しました。」

 「げ!お袋ぉ…。来たのかよぉ〜。おばさん〜頼むよぉ〜。」

 「分かっているわ。君、この子連れて行って、私はこの子のナビとちょっと話があるのよ。」
 「分かりました、さっ、こちらです。」
 「うぃーっす〜。」


 男に誘われるまま、俺のオペレーターは部屋から出ていった。
 残ったのは、警視サンと、俺。



 『いいねぇ。ちょーどいいや。俺もちょっと話があったんだよ、警視サン?』
 「ええ、まずは、ナビである貴方に、色々と手続きの説明…。」


 『そうじゃねえよ。俺が訊きてぇのは…何の目的か、だよ。』


 、、、警視サンは、ゆっくりとため息をつく。


 「なんのことかしら?」
 『職業柄か?表情を隠すのが上手いなアンタ。アイツのネットセイバーにって、押したのは?ん?何処だ?ガブゴンか?IPCか?科学省か?それとも…。』
 「…もういいわ、分かっていたの?あなた。」
 『おうとも。多分アイツも薄々は感づいてるはずさ。』


 警視サンは、今度は、参ったわと降参をするように軽く両手をあげる。


 『此でも、ヤンチャゴトの常連でね。だいたいは見当が付いたさ…。』


 こんな話がある、一流のハッカーが刑務所を出る際、大企業やらがこぞってスカウトに来るそうだ。
 利益を追求する連中からすれば、其奴が犯罪者であるか否かなんて関係ないのだ。

 見るのは、其奴の実力のみなのだから。

 まあ、完全なるガキであるアイツに、、、、。
 将来有望確実な人材に今からお手つきしておきたいとは、何処も人材不足なんだな。
 ん?言い方が違うな。将来の危険分子ってトコか。


 「あら?一応、警視のでる私の前でそんなこと自白してもかまわなかったのかしら。」
 『さぁ?調べてみても構いませんよ?ま、確かな証拠なんて無いでしょうからね。』


 疑いなんぞ、ハッキングに関してはグレーなものが多い。
 俺達のその行為も例にもれずだ。


 『それに、仮にもネットセイバーになるヤツだ。権力とやらで俺達のグレーなもん消してくれんるんでしょ?』
 「そう言った発言は、控えてちょうだい。」


 淡々とした感情こめずの言葉が、僅かに濁る。
 こんな、ヨゴレゴトを引き受けるご身分でありながら、、、まあ、立派な姿勢だ。


 『へへ…。警視さん、これからどうぞ、宜しくお願いしますね。まあ、そんかわり裏切らない…とは、言えませんぜ。要領の悪いカッッコワリィことは絶対ゴメンですぜ…、俺はイイ子ちゃんじゃねぇんですんで…。』


 俺が、へらへらと言い切ると、警視さんはあらと、笑う。


 「そうかしら?」
 『あんだよ。』
 「あの子達から報告は訊いたけど…。」


 あの子達、、、ということは、やっぱりバンダナボーズ達だろう。
 いくら警視サンとはいえ、部下をあの子達とはいわねえだろうから。


 「ウィルスから救ったんでしょう?見捨てて逃げることも出来たのに。それは…イイ子ちゃんじゃないひとのする事かしら?」

 、、、、、耳聡い、、、、つーか、んな、事いちいち報告すんな、、、、。


 『き、気まぐれっすよ…。いんやー、あれってスッゲー痛くて格好悪かったんで、二度とやりませんぜ?』
 「気まぐれ…ね。」
 『そそ!!』
 「ナビ市販基準の耐久度の半分以下、基本戦闘能力に至ってはゼロに等しいの貴方が、随分と危ない気まぐれを起こしたものね。」
 『…ぁっちゃ〜…やはしばれてましたか。』
 「貴方を、プログラミングし直したのもあの子でしょ。演算能力が一介のナビとは思えないわね。良い意味でも、悪い意味でオペレーター好みに変えられているのね。使い勝手が良いように。」

 『…そーでーす…俺は下手すっと、メットールにも勝てねぇぐらいです…。』


 はぁ、、、バレバッレ、、、カッコ悪!!!
 ぎゃはははははは!!!
 今日はやけに隠し事が上手くいかねぇ(俺の特技なのによ)!!厄日としか言いようがねえ!!!

 今日は最高にアンラッキーデーだ!!!


 「あなたは…。」
 『あー!!もういい!!これ以上言わないでくれ!!!まるで俺が優しいヤツみたいじゃねーか!!!ぁあああっ!!気持ち悪!!人間だったら鳥肌立ってるわ!!!きゃぁあああぁああああっつ!!!!』


 俺は、自分を抱くように腕をこする(別に意味無いけどな〜)。


 『…ま、俺の善悪なんぞ関係ないだろ。やることはやりますって。』
 「改めて、期待してるわ。」
 『あーいよ。』

 「それと、明日また、あの子達と会ってね。一応、なんですからね。」
 『え〜…あんま会いたくない…。』
 「どうして?」
 『なんか…いやだっつーか…会いたくない…。』


 理屈なしで会いたくない。
 なんつーかさーぁ、すっさまじく、こっぱづかしいことした後だぜ?
 ゼッテーあいたくねぇ。


 「あと、ネットセイバーの手続きとかの要項ね。少し手間がかかるから正式にネットセイバーになるは少し立ってからね。」
 『げ…。』


 PETに要項データが入れられる、面倒くせぇ、、、はぁ、、、ママさん、パパさん、にこういうの見せるわけにもいかないし、、、、ま、何でネットセイバーになったかは、うん。俺が適当に理由を付けて置こう。
 そこら辺は、口八丁手八丁で、虚言やら、偽造やらだ。

 此も俺の得意分野だから大した苦労はしない。





 ネットセイバー。

 昨日まで、それにおっかけられる立場だったのによ、、、(本当に一ヶ月ぐらい前、IPCの関連会社に潜ってたら、赤いナビに殺されるかと本気で思った、あれ?俺って、デットオアアライブ、ふつーに体験しまくってる〜、あははは、ゼッテーアブねぇぇえええええ!!!!!)。

 一寸先は闇ってよく解る。

 ほんと、人間だろうが、ナビだろうが、、、先は誰にもわかんねぇ。



 だが俺は、あんな、大馬鹿で、超阿呆で、お調子者のなヤツのナビをこれから先、アイツが手放すまで一応続けるつもりだ。なんやかんや言いつつ、俺はアイツに愛想こそ当の昔つかしたものの、何でかな。

 あーもうやだー。

 仕事が増えるぜ。



 これからアイツは、無駄に回る脳味噌を、否応なく使うことになるだろう。



 まあ、そんくらいのサポートは知れやらないとな。



 ハプニングと、トラブルを創り出すのにも、天才の彼奴のな。
 


 『警視サン。』
 「なぁに?」


 『宜しく言っておけよ。アイツの脳味噌を食い物にしたがってる、黒い空きっ腹な奴らにな。ガキを甘く見ると、大変だってよ。今日のウィルスなんざ比じゃねえの造りだすぜ?何せ子供は想像力が豊かだからなぁ?』

 「伝えて置くわ。よくね。脚色しておきましょうか?シェイクスピアも真っ青なぐらい?」
 『いいねぇ…。』



 警視サンは意外とのりがいいらしい。

 うん、俺もアイツも冗談が通じないヤツが好かんから良かった良かった。
















 終了です!!

 大分、書き始めたときとは主旨が違いましたけれど!!

 無駄に長くなってしまった、、、。


 どうして私はこう、こう、、、。


 何時も書き終えたときに、思うことは同じ、、、。



 取り合えず、天才変人少年と、その苦労を抱える口の悪いよわっちぃナビの話。

 彼は、わざと子悪党的な安っぽい口の悪さにするのは、楽しかったです(本当に格好良い悪役は逆に難しいですからね)。

 いや、熱斗君や、炎山君みたいな、年齢でネットセイバーになれるのですから、他にも居るんじゃないかなぁて、思いまして。

 エグゼの世界観を、私なりに曲解ししている部分を多々あると思います。
 すごいですよねぇ。この世界、ニホンでも飛び級があるんですから(たしかやいとちゃんが)。


 あと、真鍋さんも好きです。
 美人ですよね〜。


 意外とお茶目なところも素敵です。


 今度は、真鍋さんを使って書いてみたいですね。