血色の思考
人間達が苦しんでいる。
街に巻いた、ゾナハ病のせいだが。
フランシーヌ様は相変わらず、眉一つ動かさなかった。
人間に苦痛を与えているのに、やはり面白くもないか…。
風の音の様に人間の苦しそうな息の音が聞こえる。
まあ、実際苦しいはずだな。
「今回もお笑いにならないわね〜、フランシーヌ様」
「コロンビーヌか…」
コロンビーヌが其処に転がっていた人間に座る。
「ドットーレと、パンタローネはどうした?」
「ああ、あの二人なら、フランシーヌ様の出し物って事で、人間を血祭りに上げてるはずよ」
「そうか…」
いつものことだ。
団員達は、そこらの人間の血をすすり始めていた。
「アルレッキーノ、あんた人間の血そろそろ飲まなくて良いの?」
コロンビーヌの言葉通り、私はここの所テント籠もりで飲んでなかった。
「そうだな。コロンビーヌは?」
「あん、アタシはさっき飲んできたわ。結構綺麗な顔立ちの男の方のね」
楽しそうに笑う。
そういえば、コロンビーヌは人間に、いや、恋愛小説とやらにはまっていたな。
コロンビーヌは、近くに本屋を見つけると其処に向かった、また新しい本を持ってくるのだろう。
私は、たまたま目に入ったバーに入った。
其処でも一応人間が居た。
手を付けていない綺麗な大きめのグラスを見つけた。
私達、最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)は元々は只の動く道化人形として作られたために、団員達の様に吸引装置がない、だから人間の様に飲むしかない。
ナイフを見つけた。
それを、其処に転がっていた人間に女の首に、そっと当てる。
勢いよく刃を引くと、血が飛び散り服を汚すのは頂けない。
ゆっくりと辺りへ動脈に刃をたてた。
ぷっと、血の玉が出来出る。
そうして血が関を壊した様に流れ出す。
女の顔が、苦しみの色から、死への恐怖へと変わる。
血をグラスに注ぐ。
すぐに八分目辺りまで、溜まった。
掴んでいた女を離す。
少し乱雑に落としたせいか、鈍い音がした。
それでも、その女の顔は痛みではなく、死への恐怖のままだ。
私はグラスを持ち、椅子に座りながらその女の顔を見る。
ゾナハ病で自由に動かない手で、傷口を押さえる。
止まるわけはないだろうが。
段々と、女の頬の赤みが引いてゆく。
眼が恐怖のためか、涙の膜が張っている。
どのくらい立っただろうか、女の体が数度の痙攣をした後、静かに息絶えた。
女の顔は、血の気が引き生きている状態ではあり得ない白さへと代わり、唇は吐血した血液で紅を引いた様に赤く染まったまま。
倒れたところの床が白いかったので、血色がよく映えた。
素直に美しいと思える。
私は、人間の滅び…死を美しいと思う。
長く年月をかけて気付き上げたものが、崩れ去るときだからであろうか?
その紅く埋もれたソレを肴に、血を啜る。
この血が美味いのかどうかよく分からないが。
私達に、人間でいう味覚の欲求というのがよく分からない。
そうゆう感覚にドットーレが関心を持っていたな。
他の人間が、私を見て顔を恐怖に変えている。
さて、どうするかな…。
短い…。
私はこうゆうの苦手です(なら書くな)。
アルレッキーノは私が好きなキャラです。
鳴海がアルレッキーノに気付かせるまで、こんな感じだったんじゃないかな?と思いまして…。
それと、何故、舌に付いている血の吸引機がないと設定したのは、ドットーレが、サハラの大決戦でルシールに、にぃいと、笑いながら舌を出したとき普通の人間みたいな舌で御座いましたので、『ああ、そういえば、最古の四人は、元は血を吸う機械じゃなかったなぁ』と、思い出しまして…(だって彼らは元々は普通のからくり人形の様な物でしたから)。
最後ですが、独白になっているのでしょうか?
これも、かなり前の作品です。
BY シンプル